第11話
「やあっ!!」
:アキヨちゃーーん!!
:頑張れー!!
:恩人くんは一緒に戦わないの?
高坂が戦っている間に俺は配信画面に流れるコメントを読む。
「俺は他のモンスターの気配を探ったり、体力温存してる。一緒に戦って影からモンスターに襲撃されて共倒れになるよりかは、一人がこうして探ったり、体力温存してる方が効率的でしょ」
:考えてるなぁ~
:アキヨちゃんが疲れたら恩人くんが戦うの?
その言葉に俺は「そうなる」と頷く。その間高坂はモンスターと戦う。
糸で首を絞めたり、糸で移動して持っている剣で攻撃。確かにこれなら中層まで潜れるのは納得。あとは強さだけみたいだし。五発ぐらいで倒せてるみたいだから、せめて三発で倒してもらえるように強くさせないと。一体に五発もかかっていたら、体力も勿体ないし。
高坂はどんどん息を荒くさせていく。女性だから体力そんなにないのかな。……十体ぐらい連続して戦ってたら疲れるか。俺だって少し疲れる。
「アキヨ。交代だ」
「えっ? あ、ああうん……」
高坂の様子を見て俺はステータスを開いてアイテムボックス欄を開く。そこから疲れが取れる薬を取り出して高坂に渡す。渡す時には「疲れが回復するやつだから飲んで」と言っておいた。メロンジュース色の薬を説明なしで飲むのは難しいだろうから。高坂は疲れた様子で笑って薬を飲んだ。ステータスを開かなくても分かるぐらい疲れが抜けていってるのを感じた。
:恩人くん何その能力!?
:恩人くん能力一個じゃないの?
「まあ、そんな感じ」
流れたコメントを曖昧に答える。説明めんどくさい。異世界に行くときに神様から貰いましたで納得出来る訳ないの分かる。絶対詰め寄られる。
高坂は「いつか話してね!」と言ってきたがまだ言わない。お前の態度によるからな。
ステータスを消して短剣を手に取る。向こうでは色々扱ってきたけど、短剣が一番しっくり来く。すぐに相手の懐まで忍び込めるし、短いから攻撃するまで気づかれにくい。隠しやすいし。
魔力無効のマントは普通に便利。これがあれば魔力吸われないし、魔法を防げる。火の魔法がマントに燃え移らず消える万能物。異世界の魔王城の敵から奪った。あれ本当にムカついた。魔法通じないから物理でやらなきゃいけなくなったし、相手が速いからまず攻撃さけられるしで……メンバー全員イラついてた。
思い出したら腹が立ってきた。このイライラをモンスターに投げつけよう。
「『力よ。我が剣に宿り給え』。行ってくる」
「待ってそれなんの魔法?」
「……攻撃力上昇魔法」
「おお……」
高坂に呼び止められて答えた。武器の攻撃力を上げる魔法。50から100ぐらいまで上がる優れ魔法。もっと上位の攻撃力上昇魔法があるけど、強ければ強いほど魔力持っていかれるからあまり使いたくない。あとこの世界ではこのレベルで十分。
上位魔法は魔力沢山持っていかれるし持続時間短いけど、代わりに強い。普通の魔法は持続時間長いし、魔力あまり持っていかれないけど、強さはそこそこ。要所要所で使いわけが大事。
「見つけた」
先に進むとモンスター群れの部屋を見つけた。10……いや20体ぐらいか。『溶ける屍』……確か魔法と物理どっちもしてくるモンスターだったはず。酸魔法持ってるから高坂には下がってもらおう。
「ここにいて」
「え、でもこの数をやるの……? 一人で?」
「いける。兎に角そこで待ってて。警戒は解かないように」
そう高坂に行ってから俺はモンスターの群れに向かって突撃しに行った。
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