第13話
モンスターを全滅させてから短剣をしまう。気分転換にはなったかな。
伸びをして高坂の元に向かうと高坂は驚いたような顔をしていた。
「……アキヨ?」
「――凄い……」
「おい」
「律くん凄いね! あの、あれだけの数を全部一人でやっつけるなんて!! 凄い!!」
興奮した様子で俺に近づいてくる。近いし何より配信してるんじゃないの? こういうの、問題にならない? 男女二人っきりっていうのもまあ……問題ではあるけど……。
その事を伝えると高坂は「大丈夫! アキヨちゃんのリスナーいい人ばかりだから」とぐっと拳を握って笑顔で言う。そういう問題ではないんだけど。ツッコむのも疲れるか適当に返事をしておいた。
「今日はどこまで潜るの?」
「あーそろそろ戻ろうと思ってる。気分転換にはなったし。それに明日も学校」
「あ! 学校忘れてた!」
「はあ。道中気を抜かないで。あと配信そろそろ切ったら?」
「そうする! リスナーさん! 今日はありがとう! またね!」
スマホの画面が真っ暗になった。多分配信終わったって事なのかな。
テレポートですぐに帰りたい所だけど、高坂のレベルは上げたい。うーーーーーーん。レベル上げ優先しよう。
道中高坂が色々話しかけてきたけど適当に答えた。嬉しそうに話しかけてくるのが気になるけど、俺達話し初めてそんなに立ってない。なにがそこまで嬉しそうに話す事があるのかな。
「律くんは、好きな人いる?」
「はあ? なんでお前に教えなきゃならない」
「答えてくれないの?」
「嫌だ。答える必要性を感じない」
「えー」
いきなり何言ってるんだこいつは。好きな人なんて作る暇ないよ。異世界で生きるか死ぬかみたいな事してたんだがらそんなのない。
いやでも……一人は……いたかな……告白はしなかったけど。する暇がなかった。魔王倒し終わった後は国全体が盛り上がりすぎて二人っきりになる時間なかったし……悲しくなってきた。
「律くん?」
「……お前のせいだからな」
「えっ何が!? ちょっ……律くん!?」
いつの間にかダンジョンの出口付近まで来ていた。もう大丈夫だと思って高坂を置いてダンジョンから出る。ダンジョンを出ると政府が管理しているホテルの一角に出る。
返り血を取るための温泉、疲れを取るための個室がある。
俺は受付に行き高坂のホテル代を先払いする。
「高坂」
「何?」
「疲れただろうしホテル代払っておいたから今日はここに止まるといい」
「え、そんな事しなくていいのに!」
「いいから受け取れ。これ部屋鍵」
高坂に押し付けて俺はマントのフードを被ってホテルから出る。後ろから高坂が何か言ってる気がするが危険がないので無視。
面倒事は早々に去るのが吉。ダンジョン外の面倒を見る気はない!
それにしても高坂が嬉しそうに俺の後を着いてくるのは何だろ。一緒に行く仲間がいなかったからそれが嬉しいのかな。まあ俺にはあまり関係ないか。
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