第14話
「律くん! 学校一緒に行こ?」
朝いつものように学校に向かう為に玄関の扉を開けたら、高坂がいた。高坂はリュックを背負っていた。
「…………なんで、家知ってるの」
「お父さんに教えて貰った!」
どうしてそういう事する? ああやだ。やだやだ。
面倒な事しかしない本当に嫌い。気を使わなくていいし、面倒事が少ないから一人でいるのに、平気で踏み込んでくる。
本当にいや。高坂は父親の話で同行を許してるけど、ダンジョン外の面倒を見る気はない。
「……」
「あれ? 律くん?」
テレポート使って学校まで行きたいけど、絶対学校で高坂が「なんで置いて行くの?!」とか言いそう……。それで……ああやだ……考えただけで嫌になる。
折角の平穏、普通に過ごさせて。異世界よりはマシだけど、面倒なのには変わりない。
高坂は首を傾げて俺を見てくる。あーーーーーーー。
「なんでもない。早く行くぞ」
「うん!」
折れるしかない。普通に、普通にしていれば大丈夫なはず。
高坂が道中話かけてきたから適当に答えた。そこまで仲良くないのに話してもなあ……。
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「あれ? 不良くん達いないね」
「……ああ、本当だ」
教室に入るといつも隅で陣取ってる、俺に突っかかってきたあいつらがいない。何かあった? まあ平穏が崩れなければ別にどうでもいいか。
いや……すでに高坂に平穏崩されてた。
俺は高坂と離れて席に座って本を読む。ちらりと高坂を見ると女子に群がられていた。
聞こえてくる声は「夏希くんとどうなったの」や「夏希くん強かったね!」等の俺に関する事ばかり。なんで俺の事で話すの。普通の事話せばいいじゃん……。
高坂の声は小さい。あんなに煩いのに今じゃ騒いでる女子達より小さい。
それから少ししてから担任が入ってきた。そしてあの不良達の事を話しだした。
――退学、だと。ある動画からやりすぎな不良達を退学させただと。今あいつらは住所特定されて匿名で芋を送られ続けてるらしい。
なんで芋なんだろ……しかも豊富な種類らしい。本当になんで……?
担任は皆に注意喚起してから授業を始めた。注意喚起より芋が気になりすぎる。
そして動画と。高坂あの時配信してたからあれ経由かも。今も昔もネットは怖い。
今日の授業は別に聞かなくていっか。寝よう。
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「あれ」
起きたら夕方だった。嘘、昼休みすっ飛ばしてずっと寝てた? 疲れ溜まってたのかな。
教室を見たら誰もいなかった。高坂もいなかった。
時間は……16時50分……部活ある奴以外は帰ったやつか。俺も帰ろう。
スマホにメールが届いてあってみたら高坂からだった。あれ、連絡先交換してなかった気が……?
:律くん! ぐっすり寝てたみたいだから先ダンジョン行ったよ!
「……はあ!? あの馬鹿っ……!」
一人でダンジョン行ったって事!? 高坂70超えたと言っても中層は一般的には難所。
配信は? あいつアキヨって言ってたよな。どこの動画サイトで配信してる?
死なれたら絶対父親から何か言われるし後味悪い。テレポートでダンジョン前まで行って……手当たり次第探すしかない。
「『テレポート』」
荷物を持ってから魔法を使う。そしてダンジョンの受付をしてからすぐさまダンジョンに入る。
その間に高坂が配信してるサイトを検索。アキヨで出るでしょ……!!
「出た!」
配信中と書いてあった。配信画面を開く。壁が青。中層だ。
このダンジョンは上層が緑、中層が青、下層が赤、最下層が紫と壁の色が違う。ここからこの層だよって意味で覚えてたけど、役立つ時が来るなんて。
中層だから魔力吸われるから気をつけないと……魔力無効のマント今つけてないんだから……。
『きゃああああ!!!』
配信内の高坂が怪我をした。
ああもう!! 本当に面倒ばっかり!!!
俺は魔法の重ね掛けで中層まで向かった。生きてさえいればどうにでもなる……! 無事でいてよ!?
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