第15話
中層まで走って高坂を見つける。モンスターの群れが高坂を姿を覆っていた。ちらりと見えた姿は倒れていてピクリともしてない。
モンスターは溶ける屍。ここからじゃ体が溶かされたか分からない。数はざっと15体以上……さっさと片付けなくちゃ高坂の安否を知れない。
「『力よ、我に甚大な力を』『駆ける力よ』」
最上位攻撃力上昇魔法と素早さ上昇魔法をかける。素早さ上昇は次の日筋肉痛になるからあまり使いたくなかったんだけど非常事態だから仕方ない。
「おい! こっちだ!!」
高坂から注意を逸らす。あいつらそこまで知能高くないから動かないものより音に反応する。呼んだ事で見える限りのモンスターが俺を見た。
短剣を持つ手に力を込めて、俺はモンスターの群れの飛び込んだ。
モンスターは得意技の酸魔法を発射する。それを躱して一体目を斬る。そのままの勢いで二体目も斬りつける。
俺の足元に酸を飛ばしてきたから倒れていくモンスターの上に乗ってそのままの勢いで三体目に。
四、五、六…………。
高坂に攻撃が行かないようにするのは大変だけど傷がどれぐらいか分からないから、むやみに傷つけられない。
屍だから盾にもできやしないけど、一時的な足場にはなるからまだ使い道はある。
七、八、九…………。
一体一体倒し損ねないように確実に倒す。溶けていくのは余裕がないから見れないけど。
「……ラスト」
攻撃上昇魔法がそろそろ終わりそう。でも立っているのはあと一体。すぐに終わる。
最後の一体は酸を飛ばしながら剣で斬りかかってくる。流石にもう剣使ってくるか。そりゃそうか。障害物ないもん。でも……弱い。向こうの方が強い奴いた。
最後の一体が地面に倒れたのを確認してから高坂に近寄る。真っ二つになったスマホが隣に落ちてる。それより高坂。
体の所々から血が流れている。重症以下? ステータス確認して体力を確認しないと。
高坂秋 レベル70 意識不明・瀕死
体力 400/6000 魔力 3800
職業 学生 配信者
装備 剣
能力 糸
すぐに回復しないと。
アイテムボックスからかけるタイプの回復薬を取り出して高坂の体にかけた。
これで少しずつ治っていくはず。半分ぐらい回復して、意識が戻ったら回復薬を渡そう。
あとは――……服か。所々酸で溶けて肌が出てる。これで外でたらまずいから……アイテムボックスに服とかあったっけ。
「……あった」
服というかケープだけどありはした。これで高坂を包む。
高坂のスマホを持って、高坂の手を掴んで転移魔法を使う。
すぐにダンジョン入口までついて、俺は高坂をおんぶして受付に高坂の父へ連絡を頼んだ。
「了解しました。すぐにお呼びしますのでそちらでお待ちください」
その言葉を聞いて俺は近くにあるソファーに高坂を降ろしてから俺も隣に腰かける。
高坂の呼吸は安定してて、顔色もさっきと比べてマシになった。
肝が冷えた。死んだと思った……生きててよかった。
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