第6話
「夏希律、ちょっと体育館裏まできてくんね?」
「分かった」
昼休み。ガラの悪そうなやつに話しかけられた。手紙を送ったやつだろうなぁ。というかわざわざ人がいる教室でやる事?
ここで面倒を起こされても困るしさっさと行って済ませよ。
体育館裏まで行くとそこには二人のガラの悪そうなやつら。仲間かぁ。
「お前あんま調子乗んなよ。アキヨちゃんを助けたからっていい気になるな」
「なるわけないだろ。あれはたまたま」
「なら何で今日アキヨちゃんにダンジョン同行の話されたんだよ!! お前がなんか仕組んだんだろ!」
「あれは頼まれたから」
めんどくさ。あれか、配信者ファンってやつか。厄介ファン……50年経ってもこんなやついるんだなぁ。変わらないなぁ。
高坂には昨日父親経由で知った今日俺に言ったんだろうけど、誘い出せばよかったと思う。わざわざ教室でいう事か?
俺が可笑しいのかと思ってしまう程だった。
「戻っていいか? まだ昼飯食べてないから」
「いいわけねーだろ!」
俺を呼んだリーダーと思われるやつが俺に殴りかかってきた。
え、能力使わないのか。つまらないな……。楽しみにしてたのに。
「『シールド』能力使わないのか? あるんだろ?」
「て、てんめ……!!」
「こいつ、殺すか」
後ろにしたやつらも来た。複数か、余裕。
リーダー格のやつは短剣を取り出して上空に投げた。そしたら短剣が独りでに動き出して俺に攻撃してきた。
なるほど! こいつは武器を操る能力だな?
後ろの二人は何かを唱えた瞬間俺の周りに四角い透明な壁を作った。
空間を弄る能力? ここに水を入れたら強いやつだけど……おっ。水入ってきた。これは最後のやつの能力か。
壁に阻まれてるから向こうの声は聞こえないが、高笑いしてるのは見てとれた。
水はどんどん増えていく。
まあそこそこ強いと思う。ただ、俺には無駄だけど……。
「そろそろ出よ。『テレポート』」
転移魔法で箱から出て全員まとめて雷魔法を落とす。
「ぎゃぁぁ!!」
「うん、弱い。まだまだだな。頑張れ」
人間雷打たれたらまともに動けないだろ、肉体強化してる以外なら。
痺れて動けなくなってるのを見てから戻ろうとしたら高坂が現れた。近くにスマホが浮いてる。
「あれ、お前……」
「撮っちゃった撮っちゃった。無様に負けた姿撮っちゃったぁ!」
「……は、ぁ……? アキヨ、ちゃん……?」
「配信終了ーっと。律くんズボン濡れてるよ? どうするの?」
「あとで乾かす」
「そっかぁー!!」
高坂、お前配信撮ってた? え、大丈夫なのかこれ。また面倒事増える……? 嫌なんだけど。
というかお前……名前呼びって……俺認めてない。
「律くん、戻ろ!」
「……ああ」
面倒だからいいか……。
痺れてる奴らを放って置いて俺達は教室に戻った。戻る最中炎魔法と風魔法の応用で濡れたズボンを乾かした。
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