第4話

 学生というものはとてもいい。そう思う

 高校生活の途中で異世界に行ったからか、凄く思う。

 向こうは楽しかったけど、やっぱりこっちの方が性に合ってる。

 ぼけーっとスマホを眺める。スマホも本当久々に使うんだよな。変わってなくて安心してるけど、機能が増えすぎて未だに覚えきれない。50年の差は大きい。

 それにしても、それにしてもだが、さっきからこっちを見る視線が痛い。皆スマホと俺を交互に見てから騒ぎ始まめる。俺が何したって言うんだ。


「ね、ねえ夏希くん……」

「何」

「これ、夏希くんだよね?」


 俺にスマホの画面を見せてきた。何?

 覗き込むと、そこには俺の……記事……? は?

 画面いっぱいに『有名配信者アキヨを助けた謎の人物!!』と書いてあった。

 アキヨって誰。有名配信者……配信者? 俺が居たのはダンジョンなんだけど、配信するやついたの?

 あ、でもこのアキヨって子、どこかで見たような……?


「俺……だな……」

「本当!? 夏希くん中層まで行けるんだね! 順位は!?」

「この載ってるマントってなんだ!? おしゃれか!?」


 ちょっ……俺が肯定した瞬間一気に皆が寄ってきて質問を投げかけてくる。

 面倒臭い、言った所で次の質問が来るだけだ……屋上に行こ。


「夏希くーん?」

「……『テレポート』」


 魔法を発動させて屋上に向かった。

 騒がしさからいきなり静かになったから少し違和感が……。

 今日はこのままさぼろうか。

 屋上の椅子に横たわって寝ようとした時、屋上の扉が開いた。

 人来るのか。もうすぐ授業なのに。

 来たやつをよく見ていると見覚えがあった。金髪の髪……服装は違うが見覚えがありすぎる。

 あーアキヨかこいつ。確か、同じクラスの高坂秋こうさかあきだったよな。

 怪我は治ってるように見えるな。治癒魔法が効いたみたいで少し安心した。

 高坂は俺に気づいたようで驚いた顔をしてから俺に近寄ってきた。

 

「あ、あの、夏希律くん……だよね? 昨日、私を助けてくれた……」

「……そうだけど」

「やっぱり! 助けてくれてありがとう! あの後病院まで送ってくれてありがとう! なんとか助かったよぉ」

「放置は居心地が悪かったから送っただけ」

「それでもありがとう! あの、それで、お願いが……あるんだけど……」


 口をもごもごさせて照れ始める。

 絶対、ぜっっったい面倒な予感しかない。逃げてきたのに次の面倒に捕まるって……はぁ……。


「ダンジョン……一緒に行っていい……?」


 いうと思ったよ。


「嫌だ。俺は一人で攻略がしたい。面倒事は御免」

「えっ……あ、そういわずにさ……? 配信とか出てくれたらお金渡すよ!? 依頼報酬だって全額夏希くんが持って行っていいし!!」

「い、や、だ」


 誰が好き好んで連れて行かせるか。どうせ俺が手を貸す嵌めになるのは目に見えて分かる。あの中層の少し強いモンスターにやられてるんだから最下層なんて死ぬ未来しかない。

 それを見るのはもういやだし、任せられない。


「駄目……?」

「無理。あと俺寝るから向こういってくれない? 邪魔」


 無視しよう。寝る。

 また絡んできたら対処を考えないと。

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