第22話
外に出たらもうそれは凄かった。燃える建物、逃げる人、応戦する人。モンスター、あと空を飛んでるモンスター……ドラゴンが多い。
「うっわ……」
「思った以上に深刻ですね。魔法陣から無限に出ているのでしょうか?」
「そうだったら最悪」
それは凄く嫌なんだけど。考えるだけで嫌気が差す。
甚大な被害って記事に書いてあったから多分無限湧きしてるんだろうけど……。
「あの配信を見た感じだと白楽ダンジョンの中層のどこか。探知魔法使った方がいいな……」
「その前にダンジョンに着くかの問題ですよ、リツ」
「うん。邪魔するやつは蹴散らす。救助は余裕があればやる」
「分かりました。では、行きましょう。『力よ、我らを守り給え。シールド』」
お互いを見て頷いて、ティカの防御魔法を身に着けてから街中を走る。
「『ライトニング!』」
「!? 恩人くん!? 助かる!!!」
道中襲われかけていた人を助ける。稲妻はモンスターに直撃して溶けていった。
そして聞いた事ある単語。でも今は気にしてる場合じゃない。
「気を抜くなよ!」
「っああ! そっちこそ!」
後ろから返事が返ってくる。それにしてもこの現状本当にやばいな。
魔法陣の影響なのかはわからないけど、ずっと空が真っ暗。夜が続いている……というよりかは黒い雲に覆われてる。
そして雲から何かが来てる。あれは――レッドドラゴンか!?
「――ティカ! 来るぞ!!」
「はい。『光よ。敵を射抜け。ホーリーアロー!!』」
杖を使って向かってきてるレッドドラゴンに大量の光の矢を浴びせる。
攻撃に少し怯んだ隙に、アイテムボックスから買ったのにあまり使わなかった槍を取り出す。
「『力よ、我に甚大な力を』射抜け! 飛べ! 死に晒せ!!」
最上位攻撃力上昇魔法を槍に付与して。レッドドラゴンに放り投げる。
槍は真っ直ぐレッドドラゴンに飛んでいく。
火を吐く準備をしているが、その槍は最上位魔法を付与してるから即死級。
死ね。
槍がレッドドラゴンを貫いて落ちていく。
「リツ、行きましょう。魔力は大丈夫ですか?」
「見てみる」
走りながら自分のステータスを見る。魔力はまだ余裕があるとはいえ結構減っていた。やっぱり最上位魔法は魔力食われる。
「まだ大丈夫。だけど少しは温存しないとあいつと戦う時に苦戦するかもしれない」
「魔力回復薬はありますか?」
「あー……ある。だけど5本しかない。もっと向こうでもらっておけばよかった」
アイテムボックスに5本の魔力回復薬。半分ぐらい回復するけど、今の調子だと救助やら、攻撃で魔法使いまくりそう。温存しないと……。
走って白楽ダンジョンに向かう。道中死体がちらほらとあったけど今は無視をした。死体には見慣れているけど、慣れはしない。慣れたくない。
そうしてモンスターを蹴散らしたり救助をしたりで白楽ダンジョンビルに着く。ビルは倒壊をしていて更に火が登ってた。
辺りには死体、死体、死体。……。
「リツ! こっち!」
「……今行く!」
今は考えるのはやめよう。
ティカの元まで行くと剥き出しになったダンジョンの入り口。
「行くか」
俺達は頷いてからダンジョンに入った。
ダンジョン内は所々壊れたりしていた。モンスターの数も多く、魔力がどんどん減っていく。魔力回復薬を使う羽目になった。
「魔力足らなくなってきた」
「薬の本数もあと2本になりましたね……」
2本の薬で終わらせなきゃいけない。魔力切れで倒れるのは御免だ。
「『高坂秋の居場所。サーチ』」
中層まで辿り着いて探知魔法を使う。目を閉じて居場所を探る。どこだ。
「――見つけた。こっちだ」
動いてはない。居場所の方向に走って向かう。
そして――
「あ〜! 律くん!」
高坂を見つけた。魔法陣の前で座ってた。魔法陣からはモンスターが召喚され続けている。
「あぁなんだ、その子もいるんだ」
「……高坂、自分が何をしたか分かってるのか」
「分かってるよ?」
「最低だな。屑が」
「ひどーい! 秋ちゃん屑じゃないもん!」
高坂が剣を持って立ち上がる。そして、消えた――!?
「リツ! 後ろ!」
「っくそ! 『守り給え! シールド!』」
背後に高坂はいた。いや、向かってきてた。
すぐに防御魔法を貼って攻撃を防ぐ。
糸……だよな。今の一瞬でここまで糸で移動した?
面倒。モンスターは増えてる。
「ティカ、魔法陣は任せる。俺はこいつを止める」
「分かりました。終わり次第加戦します。……死なないでくださいね、伝えたいことがあるので」
「……そっちこそ。伝えたいことがあったんだ」
ティカが離れたのを感じてから結界魔法を貼る。これで高坂はここから出られない。
結界が壊れる制限時間内に終わらせなきゃいけない。
「律くん。たのしもーね!」
「……頭おかしいな。お前。いいよ、殺してやるから」
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