育児と夫婦生活は愛情深さが似ている。

タイトルの「攫われ婚」に目を惹かれた方も多いのではないでしょうか。なんと言ってもヒロインのアリスはしょっぱなから誘拐されております。しかも犯人の要求は……結婚！？　当然アリスは突っぱねます。だって数日後に結婚する婚約者（妹と絶賛浮気してるけど！）がいるのですから。でも2話目で一転。求婚してきたのは超絶美形のウィリアム！　「はい……結婚します」って、アリスの見事な即落ち２コマに脱帽です。だって顔が好みなら、仕方ない！

こんな感じで終始コミカルに読み進めることができる作品です。

ここでアリスとウィリアムの夫婦像について少し。
タグに溺愛とある通り、ウィリアムもアリスを無条件で大事にしてくれますが、それ以上にアリスの愛情深さがすごいと思うのです。言ってしまえば、ウィリアムは顔はSSランクだけど超がつくほどの人見知りで、他人と関わって来なかったからこそ純粋な歪みのようなものを持っています。仮に私が妻なら往復ビンタして小一時間説教してしばらく口をきかないくらいのヤラカシを彼はするのです（ここはぜひ本編を読んでいただきたい）。それでもアリスは、彼の全てを一度受け止めて、否定せず、分かり合いたい、愛したいと考えます。これはアリスが前世でたくさんの子供と関わる仕事をしていたことも関係していると思います。許容範囲がとても広いのですよね。大らかでもあり、受け止める度量もある。だからこそ、「愛されるよりも愛したい！」と思っている読者さんにお勧めできる作品だと思いました。

気になった方はぜひご一読ください！
このレビューが読者さんと作品を繋ぐ一助となりますように……。