第6話

満員電車にすし詰めになって会社に向かう。

会社に着いたら一日中頭を下げているだけだ。全くもって虚しい。

俺に居場所をよこせとは言わないが、空気になるとは馬鹿馬鹿しい。

存在感皆無な俺はお茶汲みから始まりそれでおしまい。

自分より年下の社員に頭を下げる子ことは最初は屈辱だったが、

もう完全に麻痺してしまった。別に何とも思わない。

どちらかというと満員電車のストレスの方が肉体的にキツい。

ただそれもどうでもよくなってきてしまった。

駅のホームで「目の前で誰か飛び込まないかなぁ」と思っているうちに

会社に着いているものだ。あぁ悲しけれ悲しけれ…

と、そんなことを考えながら雑務をこなしていく。

時計を見れば12時過ぎ。チッ、休憩時間に入ってんじゃないか。

いそいそと弁当を出し掻き込む。味なんか全く感じない。

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