第10話
机に戻ったところでなんの仕事もない。ああ暇だ。ネットサーフィンも飽きてくる。
5ちゃんねるには相変わらずエロ画像が溢れてるし、町では事件が起こってる。
非常に良くない傾向だが、それが一般化してしまい「麻痺」してしまっている。
いずれこの仕事もAIに奪われる。近い将来50%のホワイトカラー職が奪われる。
なのにデモもストライキもほとんど起こらない。まるで事実を受け入れるように。
まぁ確かに、新たな職が生まれるので失業者数が天井知らずになることはない。
ただ、大きい社会変革が起こる。多くの民間人に何かしらの損害が出る形で。
かつて―大きく政治的・社会的変化が起ころうとしたことがある。
その時に立ち上がったのは紛れもない若者だった。
自分たちの望む社会を作るために、反乱を起こした。いわゆる「学生運動」だ。
今の大学生・20代を見ろ。毎日をだらだらと過ごし、社会への不満を口にしない。
就職先が大事なのかどうかは知らないが、反乱を起こす力など残っていない。
メイクやファッションに力を入れ、反乱など頭の片隅にもない。
その結果、偉い奴らは利権を吸い上げ続けている。
そして、一番損をしているのは若者だ。完全に馬鹿になってしまったようだ。
また軍国主義へと後戻りしようとしても全く興味を示さない。
消費税をあげても目もくれない。頭上をミサイルが飛ぼうと興味なし。
皆、取り憑かれたように髪型を気にし、メイクを気にし、音楽を聴いている。
平和ボケ以前の問題ではないか。なんならAIに乗っ取られても気にしなそうだ。
これでは次の世代は暗いな。と思いながら缶コーヒーをすすった。
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