第8話
yahooを開いた俺はふと、笑い話を思い出した。
〈とある学校の教室には座ると呪われるという机があった〉
〈そこに何も知らずに座ってしまった人がいた〉
〈その人は特に何もなかった。呪いなんてあるわけ無かろうし。〉
〈だが、呪いのことをわざわざ話した人がいた〉
〈その人は気にしやすい性格だったため、呪いのことを信じこんだ。〉
〈気にして眠れない日が続き、その人の成績は段々下がっていった。〉
〈成績下落のことをその人は呪いだと思い込んでしまった。〉
〈そして、ついには自殺してしまった。〉
〈この話を聞いた人は口々に怖い、怖いと言った。〉
〈「呪いが怖い」という意味なのだろうか。〉
〈感想を述べた人のほとんどは「呪いが怖い」だろう。〉
〈ただ、一人は違う感想を述べた。〉
〈「成績が落ちたくらいで死ぬなんて、ほんと怖い話だよね。」〉
この笑い話を聞いたその日のニュースで、成績不振に絶望して自殺した
女子中学生のニュースがやっているのを見て口元が緩んでしまった。
ただの数字がそんなに怖いかね。数字よりもそれこそ―
俺はそんなに頭が良いうちではなかったので定期テストの学年ビリも経験した。
ニュースになっていたのは桜陰中学—日本で一番頭の良い女子校。
きっとエリートは数点下がっただけで絶望してしまうんだろうな。
俺はずっとドベチンだったからなんとも思わないけどね。
yahooには―相変わらず刺激的な見出しが並んでいる。
‶人間の興味を引くにはね、ちょこっと心の弱いところを突いてあげるんだよ。〟
俺はピンクスライムの海に飛び込んだ。
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