第15話

ちはると名乗るユーザーから画像が送信されてきた。

俺は興味を持つ一方で、既読を付けることに抵抗を感じていた。

電話番号追加だったりしたら、詐欺の可能性もある。

俺は意を決してトークを開くことにした。

ゆっくりと息をして液晶をタップする。

するとそこに出てきた画像は酷いものだった。

血まみれで横たわる人々。壁には血が飛び散っている。

これは―ニュースになっていた新興宗教の集団自殺だ。

ニュースでは画像は全く出ていなかった上、報道管制が敷かれている。

まさか、このちはるという女は関係者だというのか。

こいつのアカウントを割り出せば全部出てくるのでは?

デベロッパーモードから侵入してやるか?いや待て、違うかもしれない。

しかしこの女、絶対に裏がある。必ず何かが絡んでいるはずだ。

でなければこの画像は絶対に入手不可能。それこそ―クラッキングしない限り。

ここに返信していいのだろうか。相手もまさか俺のデバイスに侵入しようと

していることはないだろうか。ここまで緊張するのは初めてだ。

心臓が早く、大きく脈を打っている。闘争か、逃走か。体が燃えるように熱い。

俺はメッセージを打ち込んだ。「こんばんは、良ければ教えていただけませんか?」

返信ボタンを押すと、すぐに既読がつき「あら、気づかれました?」と返信が来た。

まさか、こいつ―俺を嵌めようとしてこんなことをわざわざしているのか。

いや、そこまで頭が回るだろうか。たかが一枚の写真だぞ。

俺は恐怖を感じるとともに興奮を感じた。

エクストリームでエキサイティングな匂いを感じる。

これはきっと俺の望んでいたものだ。ここからエクストリーム・デイが始まるんだ。

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