第2話
〈この作品は実際の人物・背景を元に、脚色を加えたものです。〉
俺は自殺配信に魅入られた男。名前はまだない。
八月というのに相変わらず肌寒い部屋でPCをいじっている。
なにか面白いものはないだろうか。D,dos攻撃もMitM攻撃も飽きた。
面白い動画を探すうち、エクストリーム・ヴィデオが集まるサイトを見つけた。
アダルト・ビデオや自殺配信等がモザイク無しで掲載されているサイトだ。
その中で「おすすめ」に上がっていた動画に目を付けた。
「女子高生マンション屋上から飛び降り〈モザイク無し〉」だそうだ。
クリックして動画を開く。読み込みのサムネイルには深夜の屋上が映っている。
動画読み込みが終わり再生が始まる。ハァハァと過呼吸気味の女子高生二人が
マンション屋上の端っこに立っている。俺は頬杖を付きながらあくびをしている。
俺がコーヒーに手を伸ばそうとしたとき画面の中で一人が「飛ぼうか」と呟いた。
そして数秒後、二人は手をつないだまま後ろ向きに落ちていった。
さながら潜水の時にボートから入るアレのような様子で落ちていく。
そしてお馴染みのドゴォンという深く重い音が深夜の住宅街に響き渡った。
彼女らは何を言いたかったのだろうか。ただのエンタメで片づけるのではなく、
閉ざされてしまった彼女の口は何を言いたかったかを考えるべきではないか。
それはきっと社会へのささやかなレジスタンスではないか。
深く考え過ぎだろうか。俺はそんな気がしてならない。俺はゆっくり目を閉じた。
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