第10話

辺境伯達と会い数週間が経ち、僕は執務室に呼ばれて


「カール、お前ももうすぐ7歳になる、それで、今年7歳になる者たちが集まる王都でのお披露目会があるので、出発するための準備をしてくれ」

「いつ頃出発ですか?」

「数日後には出発する」

「僕は衣装なんて持っていませんけど?」

「何を言っている、一月ほど前に測っただろう」

「あ、ああーそうでした」

「あとは、ちょっとした調整だけだ」

「父上と二人だけで行くのですか?」

「そうだ、エリンシャには、領の経営にキャロルの技能鑑定もあるからな、ロウクスにまだ任せるわけにいかんからな」

「あー、キャロルの技能鑑定に一緒にいられないなんて、お披露目会中止はダメですか?」

「ダメだ、7歳になる子がいる貴族が全員来るんだぞ、家だけ行かないのはいかんだろう、私もキャロルの技能鑑定に行きたかったんだぞ、・・・そうだ、カール一人で行けばいいんだ」

「父上、暴れますよ?」


父上は咳払いをして


「カール、アイテムボックスの中は時間が緩やかだったよな」

「いえ、どうやら色々できるようです」

「いろいろ?」

「早めたり止めたり色々です」

「そうか、色々か・・・、とりあえず、着替えとか日用品の一部と野営したりするから食料なども頼むよ」

「はい、メル達メイドに頼んでいろいろ作ってもらいます」

「あと、護衛は冒険者に頼むからな」

「僕らに護衛はいるのでしょうか?」

「いらない強さはあるが、見た目と建前だな」

「貴族は面倒ですね、お金もないのに見栄を張らないといけないのは」

「今は、カールのおかげで楽になってきたけどな」


出発当日になり、冒険者3人と町の北の入口で落ち合い挨拶をする


「あんた達が護衛の依頼者か、俺たちは小さな翼の剣士をやっているカジトだ」

「私は、魔法使いのミランよ」

「私は、弓使いのサーシャです」


馬車の後ろにある4人ほど乗れる護衛用の荷台に二人乗ってもらい荷物はその上にある荷物置きに乗せてもらう、一人は御者と一緒に前に乗ってもらう


「では出発しよう」


馬車の中で


「父上、馬車に強化して早く行きましょうか?」

「急いではいないが、途中で野営するよりはいいかやってくれ」


魔法で馬車の強度を強化で上げ重さを重力軽減して軽くし、馬に強化をして強くすると、移動速度が通常よりだいぶ早くなった

乗っている御者と冒険者たちが驚く


「うお、なんか速くなったぞ」

「大丈夫なの、この速さ」

「いえ、大丈夫ではありません、この速さだといつ壊れてもおかしくありません」

「ごめんなさい、一言言ってから行うべきでした、馬と馬車に強化魔法をかけたので壊れたりはしませよ」


移動が速くなったので一晩休む野営地を早い時間帯に通り過ぎて最初の街に夕方ごろに着く


「いやー、一日で着くとかありえないでしょ」


冒険者の人たちは速すぎるなんて言っている


「さあ、暗くなる前に早く宿を探しましょう」


宿が決まりのんびりしていると


「カール、覚えているか?」

「何をでしょうか?」

「ここの領主の娘、三女のモリーネ・ダメークイ、お前の婚約者だ」

「えーっと、誰ですかそれ?」

「まあ、そうだよな、3歳の時に婚約して、はじめは何度か行ったり来たりして会っていたが、4歳のころから一度も会っていないからな、忘れるのも無理はない」

「なぜ会ってないのでしょうか?」

「病気だと言う話だが嘘だろうな、家には見るのも何もないからな、嫌がっていたのだろう、同じ歳だから王都のお披露目会に参加するだろう」

「なんか会いたくないですね、破棄できないのでしょうか?」

相手のほうが爵位は上だから、こっちから破棄すると何を請求されるか分かったものではないからな、すまないなカール」

「何とか向こうから破棄してくるように考えないといけないですね、ところでなぜ婚約することになったのですか?」

「ただ同じ年に生まれて、近くの領だ、派閥の中での力を付けるためだろう、三女だしな、撒き餌さみたいなものだろう」


僕は拳を握り力強く


「これは力を隠して馬鹿を演じて破棄させなくては、父上、利益になるものをしばらく隠していてください、あと数年ダメだったら諦めます、僕のために」

「できるだけやってみよう」


朝早く東門から出て南東の道を強化を施し1日走ると三又になった道へ着く


「今日はここで野営しよう」


僕はアイテムボックスからテーブルを取り出し、料理を出していく


「さあ、小さな翼の皆さんも一緒に食べましょう」

「俺たちもいいのか?」

「いいですよね、父上」

「ああ、いいとも、あまり美味しいものではないかもしれないが食べてくれ」

「野営の時の固いパンに干し肉だけより全然ましですよ」

「そうそう、時間あるときは森で食べられるのも取ってきたりするけど、やっぱりおいしくないし」


食事を終えて、僕たちは馬車の中に行く、夜番の護衛は順番を決めて寝る様だ

馬車に音が外に漏れないように消音魔法をかける


「父上、ここから西に森を抜ければ、家の町に着けるのでしょうか?」

「着くことはできるだろうな、かなり深いが迷子にならなければ1日もかからないかもしれない」

「お披露目会が終わり帰ったら、ここへの道を開拓したいと思いますがどうでしょうか?」

「普通の者には簡単にはできないが、カールには簡単にできそうだな、他の領とのことがあるから、国に許可をもらってからだな」

「では、帰ったら家のほうだけでも道を作っておきましょう、それと、馬車の改良です」

「道は分かったが、馬車の改良か?」

「お尻が死にます」

「まあ、それは慣れだな」

「慣れでもお尻は死にます、快適に過ごすために改良は必要です」

「そうか・・、それならカール任せるよ」

「ええ、キャロルと母上のお尻のためにも」


朝になり、冒険者たちが片付ける音が聞こえてくる


「おはようございます」

「おはようカール」


片付けが済み、僕はテーブルを出し朝食のパンにスープを出す


「朝食を食べて出発をしようか」


朝食を食べて、出発の準備をする

東にある王都を目指して出発する、途中で狼を数頭見つけたので安全のために倒しておく、ゴブリンや盗賊、馬車の事故などはなかった、ないほうがいいけどなかった、そんなこんなで、何事もなく王都へ着く


王都に入り、小さな翼の人たちと別れる


「ウォルト様、カール様、楽しかったですよ、また何かあったらよろしく」

「カール様、お披露目会がんばってね」

「ウォルト様、カール様、これで失礼します」

「冒険者頑張ってね」

「よし、ギルドに行って報告だ」


ギルドに向かって行く小さな翼


「父上、僕たちはおじいさまの所ですよね」

「そうだ、行こうか」


お爺様の住んでいる屋敷に向かう

屋敷に向かうと執事とメイドが迎えてくれる

お爺様いる居間へ行き

「お爺様、お婆様、お久しぶりです」

「カールにウォルトか、久しいの」

「久しぶりね」

「お久しぶりです、母上父上」

「カールは少し大きくなったわね」


僕を膝の上に座らせるお婆様


「僕はまだまだ大きくなりますよ」

「エリンシャにキャロルは連れてこなかったのか?」

「キャロルは技能鑑定がありましたし、エリンシャはキャロルもですけど新しい場所のことがありますので連れてきておりません」

「キャロちゃんは、技能鑑定があったのね」

「ウォルト新しい場所というのは何だ?、あそこは何もなかったはずだが」

「カール消音魔法を頼む」

「話をしそうだったのでかけておきました」

「ありがとうカール」

「何だ、そんなに大事なことなのか?」

「大事ですね、実はですね、岩山の向こう側へ行きました」

「なに、岩山の向こうへ行ったのか、何があったのだ」

「向こう側には、なんと海がありました」

「海があったのか」

「はい、海がありました、今はそこで塩を作っております」

「塩だと、この国では塩は他の国から買わないといけないのを、儂等の領で作れるというのか、しかし、どうやってあの山を登り塩を作るというのだ、あの山を馬車は無理、人力で運ぶとしてもたいした量は運べないな」

「山を登るのではありませんよ、穴を掘って山の向こう側まで道を作ったのですよ、カールが」


すごい勢いでカールを見るお爺様、お婆様は顔をつかんで自分のほうへ向ける


「カール、何をやったのか教えてくれますね?」

「はい、お婆様、最初は僕が僕が父上に岩山の向こう側に何があるのか気になって聞いて、わからないと言われたので、一度確認のために岩山へ向かい登るのは危ないと思い、それならば掘ってみようと思い掘り始めました、掘ってみるとかなり質のいい石だったので、ついでに町に壁を作ろうと思い掘りました、一月、二月、と掘り数か月掘り、もうあきらめようとしたら向こう側へ着いたのです」

「えーっと、カール、町の壁とは何だ?」

「町の周りに4メルほどの壁ですが?」

「そ、そうか・・・」

「掘り終わった後、外を見ると海が見え、周りに不規則な狭いけど段々になった平地があったのでそこまで道を作りました、そこで塩を作るための設備を整え今少しづつ外へ売れるように増やしております」


頬ずりしてくるお婆様


「カールはすごい子ね」

「それと、家の領から三又の道の所まで森を切り開いて道を作ろうと思っています」

「まだあるのか、そこの領主は家の屋敷の隣に住んでおるな、儂が許可を取ってこよう、仲は悪くないから貰えるだろう、国には作ると報告だけすればいいだろう、こちらも報告しておこう、塩のことを言えばすぐだろう」

「お爺様、ありがとうございます、でも塩は多く作れないのでまだ報告はしないほうがいいのでは?」

「大丈夫だ、作った分だけ国の費用が浮くからほかに回せるようになる、王は頭が回るからな、移民は増えると思うがな」

「あとは、近いうちにお披露目会ね」

「ちょっと行きたくないですね」

「あら、どうして?」

「あの婚約者と会いたくないのですよ、婚約破棄したいです」

「ああ、あそこはいいうわさを聞かないからな」

「やっぱり、どう考えても、陰湿な子にしか思えない、今は貧乏として見られてるけど、お金が稼げるとなれば執着してきそうです」

「計画は秘密裏に進めたほうがいいか」

「数年ダメだったら諦めますのでおねがいします」

「わかった、やってみるかの」

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カール適当にやる? たぬき鍋になる @tanuki12

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