第8話
あれから一月が経ち
「シャントット姉さま、掘りに行きますよ」
「まって、準備するわ」
洞窟の一番奥まで着く
「だいぶ、奥まで来たけど終わらないね」
「そうですね、掘り進めて一月、そろそろあきらめて入口のほうで壁用の石材掘りに変えたほうがいいかもしれません」
「今日でダメだったらもうやめましょうよ」
「わかりました、今日でだあれ?」
「どうしたのよ?」
「いえ、掘り終わったようです」
「なんか都合いいわね」
「そんなものですよきっと、さて、向こう側は何があるんでしょう」
最後の壁を掘り進み、外を見ると正面は青い水が一面に、下は崖になっていて、右には滝が見えていた
「これは何、湖?」
「これはたぶん海かと」
「うみ?、海って塩辛いとかいうあれ?」
「その海です、あっちの下のほうに平地っぽいのがあるので掘って行ってみましょう」
「落ちないように大きめに掘って行ってね、まわり崖しかないし、風も強いわね」
「今日は練習なしで、平地まで掘っていきますね」
「わかったわ、私も気になるからいいわよ」
平地まで掘り進めると
「広くはないけど狭すぎるってわけでもないですね」
横の広さ300メルほどで降りるとき見えなかったけど、上向かって段になって平地がある
「この水しょっぱいわよ、カール」
海のそばに行き、水をすくい乾燥させると白い粉が残った
「カール、それは何?」
「シャントット姉さま、これは塩ですよ、なめてみてください」
「しょっぱいわね」
「これが作れれば、家の領は貧乏から脱出できます」
「なんですって」
「フラフラン王国は内陸部、この海と隣接していない土地なので輸送費で塩が高いのですよ、さらに家は遠いから馬鹿高いのです、だから、これが作れれば、この国は内陸部と呼ばれなくなります、塩が安く手に入り、その分がほかに回せます、さらに他の領に売れば儲けで潤います」
「すぐに兄さまに報告よ、急いで帰るわよ」
急いで家に帰り父上のいる執務室へ
「兄さま、緊急事態よ」
「父上、緊急事態です」
「あら、どうしたの二人とも」
「あ、お義姉さま」
「あ、母上」
「実は岩山の向こう側に行きました」
「なにがあったの?」
「海がありました」
「なに、海だと」
「はい、これがそこで作ってみた塩です」
アイテムボックスから白い粉を出す
「しょっぱい、塩だな」
「しょっぱいわね、塩ね」
「カール、明日連れて行ってくれないか」
「私も連れて行ってね」
「はい、案内します」
次の日の昼過ぎ
「カール、行こうか」
「距離があるので走っていきますよ」
「わかった」
洞窟の入口を開け、さらに走っていく、出口の光が見えて
「もうすぐ着きますね、崖になっているので気を付けてください」
出口で止まり外を見る
「おおー、これが海か」
「初めて海を見るわ」
「あっちのほうに広場がありますよ」
広場のほうへ行き
「ここに村を作って塩作りをやればいいな」
「はい、ほかにもここを広げて漁をしたり港を作ったりできますよ、最初は変なのが来ないように少人数で塩作りでしょうか」
「そうだな、ちょっかいを出してくるのがいるから秘密裏に塩作りだな」
「入り口も隠しながら拡張していきますね」
「そうしてくれ、こっちも信用できる者を選んで塩作りを頼むことにするよ」
それから、数か月が経ち、塩作りもいい感じにできはじめ、海に行くトンネルも横幅7メル高さ5メルほどの広さに拡張でき、町を囲む壁も完成した高さ4メル幅2メル、縁もつかめないように丸くした、あとは南にある森と田畑の境にも2メルの塀を作った
途中で、水をどうにかできないかと話があり、トンネルから出て右のほうにあった滝から水路を引き村予定地に水ためをいくつか作った、この水すごくおいしかった
ロウクス兄さまやカイオス兄貴の特訓をキャロルと一緒に指導したりかなりできるようになっていた
シャントット姉さまも覚醒をできるようになりましたよ、練習のとき、たまに狂戦士にして遊んでたら、理性が戻り覚醒状態になったりしてビビったりしたけどね、その時は魔力が切れ、すぐに倒れてたけど、遊んでたのがばれたよ、おかげでアルモの実を取りに行くことになりましたよ
そんなわけで、町に南にある森へ取りに行ってます
「えーっと、確かこの森の奥にあるとか聞いたな」
数刻探し回り、ゴブリンに遭遇したり、イノシシと戦ったりでようやく見つける
「やっと見つけたよ」
アルモの木には数匹のヘイモンキーがいて食べていた
「なあ、いくつか分けてくれないか」
ヘイモンキーは熟れ過ぎたアルモの実を投げてきた
「ウッキ、ウキーー」
探すのに疲れていた僕はそれを受け、イラッと来たので
「そんなにお礼がほしいか、ほしいならくれてやる、ウィンドショット」
お礼に魔法の乱れ打ちを返してあげた
ヘイモンキーを倒して少し落ち着き
「アルモって町のそばで作れないのかな?、甘くておいしいし、たしか甘いお酒とかも造れたような、母上が好きなお酒だった気がする、沢山持って帰って植えてみよう」
急いで帰り
「シャントット姉さま、アルモ取ってきたよ」
「カールにいさま、おかえりなさい」
「カール、おかえり」
「キャロル、母上、ただいま」
「夕食のデザートに出してもらいましょう」
喜んでくるくる回るキャロル
「やったー」
「母上、アルモを植えてみてもいいでしょうか?」
「いいんじゃないかしら」
「では、取り出した種を、明日植えに行ってきます」
「わたしもついていっていい?」
「カール、どこに植えるの?」
「岩山のほうの、田畑の先あたりです」
「危なくはなさそうだから、キャロルも連れて行ってあげて」
「わかりました、キャロル、明日の朝に行くから、汚れてもいい服でね」
「はーい」
次の日の朝
朝食が終わり、耕す道具を持ち
「キャロル、シャントット姉さま、準備はいい?」
「はーい、にいさま、だいじょうぶ」
「カー君、大丈夫よ」
「では、行きましょう」
町を出てあぜ道を歩いていると、畑で作業している人が
「カール様に、みなさま、お散歩ですか?」
「この先で、秘密の農園を作りに行くところです」
「喋ってるから、秘密になりませんよ」
「そうですね」
田畑の端まで行くと
「着きました、このあたりに植えましょう」
「ついたー、どう植えるの?」
「そうですね、アルモの木は4メルほどの大きさになるから、5メルほど間を開けて植えていきましょうか、種を植えるところを、この桑で耕して植えていってください」
「はーい、シャン姉さまやろう」
「わかったわ、キャロル」
キャロルたちが植えている間に、僕は周りを1メルの塀で囲っていく、材料は岩山を掘った時の石だ
ただ、アイテムボックスから出し置くだけなのですぐに終わった、100メル四方に囲めたので、植えられたところに技能で成長促進の効果をかけ、品種改良の技能はないので、ついでに害虫に強くなったり、さらにおいしくなるように思いながら、魔法で水をかけていく
「カールにいさま、おわったよー」
「こっちも水やりもうすぐ終わるから」
作業が終わったので帰路につく
「さあ、終わったから帰ろうか、芽が出てある程度大きくなるまで、これからは毎日水やりだ」
「みずやり、まいにちがんばる」
「一人では絶対に行かないでね」
「はーい」
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