第5話

キャロル事件から1週間何事もなく、訓練所を走り回って、魔力をグールグル、感知できない人は3日ほどでできるようになりました


そして1か月が経ち、訓練している兵士たちを見て


「兵士たちの成長速度が速すぎるよな」

「はい、父様、ゴブリンを数人でやってたのが今では一人でとか」

「わしも、オークくらいなら一人で楽にやれそうじゃし」

「カールのおかげでこの領も、停滞気味だったのが進むかもしれませんね」

「来年、来るのがちょっと楽しみよ」

「父様、母様、明日出発ですか?」

「ちと、長く居すぎたから戻らんとの」


次の日の朝早く、出発するおじいさまたちを送る

「「「気を付けていってらっしゃい」」」


さらに2か月が経ち

「父上、兵士のみんな、だいぶ強くなりましたね」

「そうだな、オークといい勝負が出来そうなくらいにはな」

「兄さまたちもだいぶ強くなりました、そこで、次の計画に行きたいのですが」

「次は何だ?」

「次は領民強化計画です」

「なぜ、領民なんだ?」

「能力が強化されれば、仕事をするのが楽になります、あとは、町の外に出たときゴブリンくらい倒せるようになっていれば被害を減らせるから・・」


腕を組み、考え込む

「よし、やってみるか、なにをすればいい?」

「領民は全部で何人くらいでしょうか?」

「うーむ、1000人くらいか」

「若い方と、お年寄りの方を外して、最初に12歳から40歳くらいの方で、5、600人くらいですか?、1回50人くらいで1か月ほどの訓練でやろうと思います」

「1年ほどで終わるか」

「あとは、これは、自領の強化ですので他領から来た民は外してください」

「我々も、他領の面倒など見れんからな」


領民のリーダー的な者たちを集め、訓練の話をした

数日後、昼過ぎに訓練所に集まってもらった50人ほどの領民たち

僕とルークの二人で前に出る


「なぜここに、カール様が?」

「カール様が、この訓練の教官をやるからだ」

「皆さん、仕事を休ませて集まってくれてありがとうございます、必ず1か月後、後悔させないようにします」


相手が子供だと知り、ガラの悪い領民が

「こんな、子供の遊びに付き合ってられるかよ、俺は帰る」

訓練所から出て行ったあと

「あいつ、他の者からも嫌われている奴なんです」

「大丈夫ですよ、あとから来ても受け入れませんので、では、最初はきついですけど、がんばってください」


そんなこんなで、訓練の日々

僕は6歳になり、おじいさまがそろそろ帰ってくる頃になった

食堂で父上が

「そろそろ、父様と母様が帰ってくる」

「おじいさまたち、気づくかな?」

「気づくだろう、あきらかに動きが違う」


夕方、屋敷の前に馬車が止まり、おじいさまとおばあさまが下りてくる

「「「おかえりなさい」」」

「ただいま」


食堂へ行き

「ところで聞きたい、住民たちは何があったんじゃ?」

「何がとは?」

「あきらかに動きがおかしいじゃろ、去年までと動きが違う」

「住民のほとんどを訓練しましたよ」

「あの訓練をか?」

「あの訓練をです」

「どこかと争いでもやるのかの?」

「やりませんよ、住民の安全にもつながるとカールが言ったのでやりました」

「そうか、みんなも、わしよりも、もう強そうだしの、わし等おいて行かれた気分じゃ」

「ふっふっふ、おじいさまが帰ってきたので新たな訓練を行いますよ、さあ、いざ、訓練所へ」

「カール待ちなさい、もう遅いから明日だ」


窓の外を見てみると、だいぶ暗くなっていた


朝になり久々に

「ワオーン」

「グペッ」


クロウにやられる僕

「なぜ姉さまが張り切るんですか」


腕を組み仁王立ちで

「新しい訓練やるんでしょ、早く行きましょう」


呆れた顔で首を振り

「ご飯が先です」

「ご飯はいらない、訓練よ」

「僕は食べるので、一人で行っててください」

「わかったわ」


一人で訓練所へ行く姉さま

食堂へ行く僕

途中で泣きそうな顔で戻ってくる

「一人で行っても何もできないじゃない」

「気づきましたか、さあ、ご飯へ行きましょう」


食事が終わり訓練所へ

ルークが駆け寄ってきて

「本日の訓練はいかがしますか?」

「今日は、おじいさまたちが帰ってきたので、新しい訓練をやろうとおもいます」

「新しい訓練ですか、では、お前たち全員集合」

兵士たちも集まり

「新しい訓練法はヴィクテス家の秘術とし口外禁止です、いいですか?」

「「「了解です」」」

「秘術か?、なぜ秘術にするんだ?」

「他ではまず、ほとんどの人がやらないだろうからです、これをやれば基礎能力が上がるはずです」

「よし、とりあえずやってみよう」

「では、皆さん、最初は立ってやると危ないので座ってください、座ったら目を閉じて、魔力を感じてください、次に魔力を一か所に集めて、集めた近くにどんな形でもいいので入れ物を作ってください、できたら集めた魔力をその中へ入れ魔力が漏れないように蓋をしてください、できたらそのまま目を開けてください、皆さんどんな感じですか?」


体を横にして寝転ぶようになっているみんな

「体が重く動きたくない感じじゃのう」

「これ、きついよ」

「これが、魔力完全遮断、魔力の枯渇状態です」

「確かに同じじゃのう、これが訓練かの?」

「生き物は、すべて生まれたときに、無意識のうちに身体強化をやっています、なので、本来の肉体はとても弱いのです、それを今から鍛えようと思っています」

「なるほど、これが我々の本来の力なのか、弱いな」

「では、今までの訓練は、意味がなかったのでは?」

「体力は付き、無意識での身体強化も強くはなっていきます、ですが、本来の肉体はほぼ強くはならないのです、ちなみに、自分たちで使う身体強化の違いは使う魔力量の違いです、無意識の身体強化は最低限の魔力を使っての強化なので、強化の強さが違うのです」

「この訓練はどれくらいまでやるんだ?」


首をかしげながら

「うーん、走れるくらい?」


みんな絶望したような顔で

「そこまでやる必要はあるのかい?」


「大丈夫です、数日で動けるようになりますよ、最初は短い時間で、長くしていく感じですね、この訓練の時以外は魔力は開放していいですので、無理に続けようとはしないでください、本来なら枯渇しても1時間もしないうちに、わずかに回復し強化に回されるのでいいんですけど、枯渇したままこれが1日とか経てば体が不調をきたしさらに長くなれば下手をすれば亡くなります、これが、今のところ僕しかできず、ヴィクテス家の秘術にする理由です」


顔を青ざめるみんな

「「「あ・・、え、う・・・」」」

「鍛えていけば大丈夫になるので気にせずやりましょう」

「「「・・・」」」

「それじゃ、全身を動かすように、とりあえずもがいてください」


1時間が経ち

「終了で、魔力を開放してください」


もそもそと起き上がるみんな

「疲れた・・・、とりあえず動きたくはない」


甘いですぞ皆さん

「はいはーい、この後は通常の訓練頑張ってください」


絶望して座り込むみんな

「たのむ、少し休ませてくれ・・・」

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