想いを伝えることの難しさ

公爵家のドニと急に結婚することになった子爵令嬢・ルエラは、爵位の違い、そして相手が引く手数多の美丈夫ということで困惑する。
更にそれは、三年間限定の「契約結婚」であり、そうでありつつ「幸せにしたい」とドニは言う。
それにも関わらず、まるで幽閉するかのようにルエラを屋敷から出さず、何もしないで欲しいという要求に、ルエラは遂に怒ってしまう。

何故、三年間という期間限定の結婚なのか?
ルエラの幸せを願う本意とは?
過度にルエラを保護するドニの真意とは?

謎が謎を呼ぶミステリー仕立てですが、徐々に二人の距離が縮まっていく恋愛模様が中軸にあります。
誰かが誰かを想い、その想いはやはり伝わらなければ意味を成さない。
すれ違うドニとルエラ、しかし、互いの想いを口に出して伝えることで、二人は互いを知っていき、次第に惹かれ合っていきます。

しかし、タグにある通り、これはミステリー・サスペンス。
恋愛模様だけでは終わらない。
いや、むしろこの恋愛という人の心こそ、ミステリーの根幹に関わってきます。

人の心と愛とは、やはり複雑怪奇で、なんとも難しいものです。

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