家良し顔良しなドニ・テーゼナー公爵から契約結婚をもちかけられたルエラ。子爵令嬢である彼女はあまりに身分違いな求婚に困惑してしまいます。しかも「設定」とか「幸せにしたい」とか、心当たりのないことを並べられてさらに困惑。さらには彼女には「人のオーラが見える」という特殊な能力があって、そのことでかなり慎重な性格です。ですが、そんなルエラの悩みを全てわかっているかのようなドニは、彼女の全てを肯定して受け入れます。
ただ、ドニはとんでもなく過保護です。結婚後もルエラを家の外に出したがらず、ほぼ幽閉状態。理由は「幸せにしたいから」の一点張り。ルエラの夢でもあった本屋の開業を全面バックアップしたり郊外の店に転移魔法で毎日顔を見に来たりと、その過保護っぷりは凄まじい。
公爵側から持ち掛けた契約結婚、しかもドニは見返りを求めずルエラの幸せだけを実現しようと過保護を貫き続けます。読者は彼の謎をルエラと一緒に追いかけていくうちに、この華やかな世界に隠された血生臭いサスペンスへ没入していくことになります。そしてなかなか本心が通じ合わない二人のじれじれを堪能したり、美しい街並みに感嘆したり。色々な楽しみ方ができる恋愛×ミステリー作品です!ぜひご一読ください!
ミステリーを得意とする、有木さんの作品です。
設定の絶妙さは、主人公ルエラと契約結婚をするドニ視点で存分に生きます。
ルエラは控えめですが芯の強い女性です。
ドニもそんな彼女に……
しかし運命は予め決まっているのです。
最悪の未来を回避するために暗躍するドニ。
そして、ルエラもそんなドニに契約結婚とはいえ徐々に惹かれるようになります。
ミステリー仕立てとあって、最後の黒幕を知った時は「おおお」と声が出てしまいましたね。
早いところ幸せになって欲しいと思う気持ち半分、二人でシャーロック・ホームズのように事件を解決してほしいなあなんて思う気持ち半分。
ドニを支えられるのは、ルエラしかいない。そんな気持ちになりました。
だって二人は最高の夫婦なのですから。
公爵家のドニと急に結婚することになった子爵令嬢・ルエラは、爵位の違い、そして相手が引く手数多の美丈夫ということで困惑する。
更にそれは、三年間限定の「契約結婚」であり、そうでありつつ「幸せにしたい」とドニは言う。
それにも関わらず、まるで幽閉するかのようにルエラを屋敷から出さず、何もしないで欲しいという要求に、ルエラは遂に怒ってしまう。
何故、三年間という期間限定の結婚なのか?
ルエラの幸せを願う本意とは?
過度にルエラを保護するドニの真意とは?
謎が謎を呼ぶミステリー仕立てですが、徐々に二人の距離が縮まっていく恋愛模様が中軸にあります。
誰かが誰かを想い、その想いはやはり伝わらなければ意味を成さない。
すれ違うドニとルエラ、しかし、互いの想いを口に出して伝えることで、二人は互いを知っていき、次第に惹かれ合っていきます。
しかし、タグにある通り、これはミステリー・サスペンス。
恋愛模様だけでは終わらない。
いや、むしろこの恋愛という人の心こそ、ミステリーの根幹に関わってきます。
人の心と愛とは、やはり複雑怪奇で、なんとも難しいものです。
子爵令嬢のルエラが、あまりにも身分の違う公爵であるドニに求婚されることから、この物語ははじまります。
戸惑うルエラは、容姿端麗で紳士なドニに惹かれますが、彼女にはある特殊な能力がありました。身分の違いやその能力を後ろめたく思うルエラですが、三年間の期間限定という結婚生活を受け入れ、さらに夢である『本屋の開業』も後押ししてくれるドニに、どんどん心を傾けていきます。
ドニはドニで、大きな秘密があり、それが理由でルエラに結婚を申し込んだのですが……
お互いの背景もあって、戸惑うふたりはそれでも少しずつ心を近づけていくのですが、そこに起きるのが大きな事件です。
ただの恋愛ものに終わらない、作者様お得意のミステリー要素が、物語をさらに面白くしていますよ!特に黒幕にはびっくりすることでしょう。
是非、ご一読ください!
内気な子爵令嬢ルエラに突然契約結婚を申し出たのは、ドニ・デーゼナー公爵。
容姿端麗で権力もあり、どんな貴族令嬢もよりどりみどり。初対面での契約結婚の申し出を不可思議に思うも、実は初対面でないと知らされる。
しかも条件も三年と、更にはルエラを幸せにしたいと言い放つ。
そんなチグハグな契約結婚が始まるものの、ドニが秘密を抱えたまま、ルエラを守ろうとする必死さは過保護が過ぎると言えます。
何かから守ろうとするが、その何かも秘密のまま。
不信感ばかりが募る中で、ドニが唯一許したのは本屋さん。
ルエラの好みに寄り添った本屋の趣は、ルエラへの想いも伝わるほど。
少しづつ、二人は話をする中で秘密を打ち明け、ドニが何を恐れているのか。
そして、影から忍び寄る何か。
少しづつ距離が縮まる二人の恋の模様と、ドニの秘密が折り重なって二つに意味での緊張感が楽しめます。
オススメです!
公爵から契約結婚を持ちかけられるところから始まるお話。
主人公は、引っ込み思案かつ慎重派。
公爵様はちょっとクセ強めの暴走しがち。
しかも、公爵樣はなんと「転生した」らしい。
という、なかなかに面白い始まりの作品。
転生したと言い張る公爵様が、どうにかルエラを守りたい一心でグイグイいっちゃう。
内気な主人公はその勢いにタジタジでしたが、それがどんどんと距離を縮まる度に変化があって、凄く気になって追ってしまいました。
勿論、それだけじゃなくてしっかりとミステリーサスペンスな部分も!
意外とじれったい二人に迫る大きな危機……是非ともこれからも見守っていきたい作品です。