遠い異国から手紙が届くような。

その光景は見たことがなく、空を巻く風の音を聞いたこともなく、もちろん地を舞う砂嵐の色なんて想像もできない。
それでも丁寧に綴られる言葉は僕に連想させる。
砂嵐が過ぎた後の澄んだ夜の空。空に浮かぶ衛星の色をした光るような鉱石。再会した二人がお互い何を思っているか。
遠い異国から届いた封筒に懐かしい名前が書いてあるような、見たことなんてないはずなのに、手紙を読むだけで美しい情景が目に浮かぶしっとりとした手触りの短編です。
砂嵐確率80%の予報のときにあえて完全防備でドライブしたくなります。

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