絵になるSF。

 砂の惑星を舞台に、ライトハウスと呼ばれるオアシス都市へ降りた主人公はこの惑星の月であるミンの下に広がる、光る砂漠を見るという筋書き。全体を通して安定した筆力で世界観押しではないにせよ、この世界の空気を感じさせる小説になっている。
 光る砂漠というのもロマンチックな光景だろう。そうした絵になる作品はSFとしても及第点だろう。ただ欲を言えば物語の起伏だ。1万字ちかくでの小説にしては起伏なく事件らしい事件も起こらない。なにか主人公たちの家族に関するお話が見え隠れしているので、それをもう少し前景化できれば良い……と思う。

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