星空の優しさが散りばめられた宇宙の片隅

素朴で落ち着いた文章で描かれる暖かなヒューマンドラマです。

宇宙という広大な舞台を用いてあえて小さなヒューマンドラマを描くことで両者が際立っています。色鮮やかな宇宙の煌めきを反射するヒューマンドラマは小さくも美しく、淡色の優しい人間関係を包み込む宇宙は素朴ながら果てしなく広大です。2者の対比がその隔たりと同じく無限の暖かさを産み出します。宇宙という舞台装置の活かし方が絶妙です。作者ならではの綾を感じさせます。

物語は同作者の単話『ただいま Light Houseへ』の続編という位置づけです。前作を読まなくても楽しめるように作られていますが、あの少年が成長して今こうなった、という視点が割と物語の眼目にあるので、やはり前作を読んでから今作を読んだ方が楽しめます。今作同様の作風と世界観で短く纏められているため一読しておいて損はないです。

総じてとても素敵な作品でした。宇宙を舞台にした落ち着いた雰囲気の作品が読みたい。そんな方には特にお勧めの作品です。

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