剣を抜き、斬る。
極めて暴力的でシンプルな動き。それと同時に、美しいとすら感じる刀が閃く様。
この小説は、それを存分に味わわせてくれる。
人型の機動兵器による戦い。白刃による接近戦には、常に相手の手が届く範囲に踏み込む緊張感がある。
間合い、斬撃。それだけでなく、ロボット特有の推進器による急加速や欠損描写。
それが高い筆力で描写されていく。
敵と刃。その距離、間合いが如実に描写されている。
そして、その間合いの描写は人物への関係にも向けられる。
主人公を取り巻く人々。味方だと思った人を敵と思い込み、敵視していた存在が無尽の相棒になる。
そして、変わらず距離を近づけてくれる仲間。
戦闘、ドラマ、どちらも間違いなく面白い。