第9話 忘れ去られた記憶 part1
使い魔召喚に関する説明を受ける為
AとBクラスは広場に集まった。
2学期になると使い魔と共に挑む試験が行われる。
それに合格出来なかった者は即退学である。
だから、それまでには使い魔を手に
入れなければならないのである。
基本的には使い魔召喚は各自で行われるのだ。
何故なら使い魔を召喚するのに苦労する人は
一月かかるのだ。その為、自分が一番安心して
集中できる場所で行うのが一番である。
王族、貴族出身の生徒達は10才までに使い魔を持つ
事が当たり前の事だ。
恐らく、ここにいる8割以上は既に持っている。
そして、残りの2割はほとんど平民と考えられる。
なぜなら、平民出身の生徒は使い魔召喚について
教える大人がいないからだ。
いや、教える事が許されていないのだ。
なのでこの説明会はもはや平民生徒達の
為だけに毎年開かれているというまでもない。
その理由は
およそ150年前の事である。王族や貴族に
不満を持った平民達はグーデターを起こし、失敗に
終わった。その際、多くの王族、貴族が殺された。
二度とそれが起きないように仕事の関係以外、平民
平民は魔法を使ってはいけないという掟で定められ
た。150年前平民全て集められ、強制的に契約をさ
せられ、破ったものは謎の病に侵され、
死に至ると言われている。
こんな馬鹿げた決まりに今まで彼らは黙って
従っているのだ。だから、やむを得ない理由で
魔力を使って、命を落とす人々は数えきれない。
だから、魔法を平然と使える王族、貴族を憎み、
恨む者は数多く存在する。
召喚についての説明が始まって数分、突然
校舎側から悲鳴が上がり、その直後ドンという
大きな音が響き渡った。
先生たちは慌てて、そこへ向かった為、
説明が中断となった。
数分後、
様子を見に行った生徒達は全員顔を青ざめて
戻ってきた。
「ひ、人が死んでた」と一人のクラスメイトが
言うと不安で周りが一気にざわついた。
状態がかなり酷かった為、その場で誰なのかは
判別出来なかった。
翌日、国を揺るがす大きな知らせとなった。
この国の次期王承継者第一のフィリップ王子だと判明した。死因は表では自殺と発表されたのである。
葬儀は早くも明日から行われる、王族は勿論、貴族のほとんどは参列する為、学校も急遽休校となった。
レティシア達も参加する為、一旦領地にある屋敷に戻った。
だが、翌日レティシアは高熱でベッドから起き上がれなかった。無理にでも行こうとしたが当たり前だけど
両親によって、止められた。
「レティ、行ってくるね。ちゃんと大人しくするんだよ?10日後には戻ってくるからね。」
エリザベスはレティシアのおでこにキスを落とし
部屋から出て行った。
「お嬢様、クロエも行ってまいります。」
と言うとクロエも出ていった。
クロエはレティシアの専属メイドの為、残る予定だったがある事を調べさせる為に同行させたのである。
一人になったレティシアは涙を流す。
(フィリップお兄様、、、)
レティシアは彼の事を小さい頃から知っている。
レティシアは父を会いに宮殿によく来ていた。
エリーは小さい頃、体が弱かった為一緒に来ていなかった。その時からよく遊んでくれてたのが彼だった。
レティシアの母は宮殿に行くのを許可していたが、
幼い娘を心配して、町に寄り道する事に関しては
許してくれなかった。
だからレティシア内緒で彼に町で行われている祭りに連れて行ってとお願いした。するとレティシアの誕生日の日に屋敷を抜け出して連れて行ってくれたのだ。ちょうどお祭りが行われていて、いろんな食べ物や遊びを一緒に楽しんだ。
あれから、暇があれば、連れて行ってくれるようになった。
レティシアは今は読書は好きだが、彼とお忍びで町に
遊び回るのもとても好きである。
彼が中学年に入ってから忙しくなったため、回数は減ったものの、3ヶ月に一度は変わらず連れてくれていた。そして、今度の週末にまた会う約束をしていたのだ。だから自殺だなんて絶対にあり得ないとレティシアは確信している。
(調べなきゃ、、)
あれから丸2日間、安静にしたおかげで
ベッドから出れるようになった。ただ、まるで自分の
体じゃないみたいに上手く動けないのだ。魔力も
1割程度しか使えないだ。
(やっぱりただの風邪じゃないわね、、
体内の魔力がまた暴走しているみたいだわ
はあ、あの子の魔力年々強くなり過ぎ)
原因となってる人を思い出して、溜息を漏らす
レティシアは使用人を呼び出すと、必要な材料を持って来させて、一時的魔力を安定させる薬を作った。
夕方になると、体調が悪く、早く休むから朝まで誰も睡眠の邪魔をするなと指示を出した。
動きやすい格好で着替えて、マントで顔を隠した。
魔力が万全の状態だったら町へ移動する事も簡単だったが今の彼女は屋敷の少し離れたところまでの移動魔法が精一杯だった。
暫く歩いていくと馬車が通り過ぎたがすぐに止まった。レティシアは身を守る為に身構えた。
馬車から男が降りて、彼女に近づき、口を開いた。
「レティシアお嬢様、お迎えにあがりました。
危害を加えるつもりはございませんのでどうか
ご安心くださいませ」
そして、男は跪いた。
「どうして私をしている?」
「申し訳ございませんがお答え出来ません。
私はただご主人様にレティシアお嬢様を
無事に町までお見送りするようにと
命じられました。」
「もし断ったら」
「無理強いは致しませんが
ご主人様の命令から背いたとして
厳しい罰を受けるまでで御座います。」
(明らかに怪しいけどこの人が罰を受けるのはちょっと可哀想だから困ったわね、、、まあ、この体調だし
正体不明のご主人様とやらに甘えようかしら)
「わかったわ。町まで乗せて頂戴。」
「ありがとう御座います」
馬車に乗って、乗り心地の良さに数分後には眠りに落ちた。
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