第2話 嫉妬
「ふふっ、レティったら相変わらず朝が弱いよね」
「うるさいっ!」と妹を睨み、また書物に目を向ける。
すると妹は腕を伸ばし、彼女に抱きついた。
「エリザベス、暑いから離れなさい」
「嫌だ…….」と小さく呟き、氷の様な冷たい眼差しで姉が
先程からずっと読んでいる書物を睨む。勿論姉はそれを
気付くはずも無く、書物を読み進める。
「ねえ、それ面白いの?」とエリザベスは書物を覗き込む。
「うん、なかなか面白いわよ」と書物から目を離さず答える。
「ふーん」とつまらなさそうな返事が返ってくる。
「••••••••••••••」
「ねえ〜」
「どうしたの?」
「そんな物より話さない?」
「後でね」
「ダメだよ、、嫌だ、、、今話したいの、、ね?ダメ?」
「あと少し待って」
「••••••••••••••」
すると馬車の中が急に寒くなった、、、。
直後
「レティ、ひどいよ!!!最近書物ばかりで全然あたしの事を
構ってくれない!!こんなものいらない!!」
その直後にレティシアの書物が浮いた、、、。
「エリザベス!待って!」と叫んだが、もう遅かった、、
瞬きもしないうちにそれが塵と化してしまったのだ。
「あと少しだったのに、、、」と頬を膨らませ、妹を睨む。
妹エリザベスも負けじと姉レティシアを睨む。。。
「レティが悪い!!!あたしは悪くない!!レティが悪い!!!」
と理不尽に怒ってくる。
はあ、、、、こうなった妹は絶対非を認めないのだ。
そして、今構って機嫌を直してくれないと大変な事になる。
普段は優しくて、穏やかな妹だが、機嫌が悪くなると誰彼構わず
八つ当たりをしまうから。
ただでさえ今日はリーテン魔法学園での入学日なのだから、
面倒事にだけは巻き込まれたくないのだ。
「エリザベス」
「•••••••••」
返事が無い。
(うーん、、、ちょっと恥ずかしいけど、、、あれしかないよね、、、 )
レティシアは妹の愛称呼ぶ事にした。
「エリー」と呼ぶと、微かに妹がぴくりとした。
「••••••••••」
が返事は無い。。。
「エリーってば」
「なに?」
と拗ねた声で返事が返ってきた。
がこちらに視線を向けてこない、。
「エリー、こっち向いて?」
「••••••••••••」
「エリー、お願い、お姉ちゃんを見て?」
無言で視線合わせてくれた
すると今にも泣きそうな顔の妹がいる。
レティシアは妹を自分の胸に抱き寄せた。
「エリー、お姉ちゃんが悪かったわ、、、だからもう泣かないで、、」
「••••••••••」
「お詫びに今度の休み一緒にお出かけしましょう?ね?」
それを聞いたエリザベスはレティシアの胸から離れ、
嬉しそうに聞いてきた。
「本当に?約束だよ?」
その笑顔にレティシアは一瞬固まった。
(本当にこの子には敵わないわ、、、)
「うん、約束するわ」と笑顔でレティシアは返し、
エリザベスのおでこにキスを落とし、また抱きしめたのだった。
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