潜脳蟲

その化け物は、脳の中にいる。

他人の精神の異常に同調して幻覚を見る"共振症"を患う賢木は、昼間は職場の介護施設、夜はある事件を起こしてから昏睡状態の父親の病院を往復して暮らしていた。

厳格な教師だった父が何故生徒を殺しかけたのか。幻覚に悩まされながら鬱屈した日々を送っていたが、自身の周りで父と同じように突発的な殺人未遂や自傷を行う人間が続出する。

AIで自動生成されたイラストやテキスト、大昔の病人の日記、殺人を犯した脳内に現れる謎の蟲。

賢木は素性の知れない男に半ば強制的に助力を乞われ、自身と同じ共振症患者の女と共に、一連の事件を起こさせる原因を捜査する。

第44回横溝正史ミステリ＆ホラー大賞に参加します。
因習や呪いや幽霊を使わないホラーを書いてみたくて始めました。SFサイコスリラーだと思います。