第4話 全員迷子の大惨事
1節 採取班、痛恨の迷子
「おーい朝凪ーこっちだよー」
「今行くー」
睦月、時雨、僕の3人は森で薬草と山菜と魔宝石の採取をしていた……のだが、
なぜか睦月がアジとかイワシっぽいような見た目の魚をなぜか持っている。
「その魚どしたん?」
「最初は私と薬草や山菜を採っていたのですが、『どれがどれかわからなくてめんど
くさい!』と匙を投げてしまって、その後は手掴みで川の魚を……」
「いや何者だよ」
「だってどれがどれかわからないんだもん」
「まあなんかすごいいっぱい獲ってるしいいか。時雨も時雨ですげー量採れたな……」
「はい。あればあるほどいいかと思いまして」
時雨の持つカゴには薬草や山菜が何種類も入っていた。しかもそれぞれ割と量がある。
「ところでさ、今森のどこらへんかな?」
「え?どういう意味です?」
「……あそういうこと?」
「これってもしかして」
『迷った……』
迷子になった。いろいろまずい。
「んー……あ睦月さ、魚獲った川の場所わかる?」
「うん」
「じゃあそこから川を下ろう。車は川の近くだから多分どうにかなる」
「おけ」
2節 ヘタクソな狩りと迷子
如月&矢矧
「えいっ!えいっ!」
「あー!全然当たらない!なんではぎちゃんそんな弾当たるの?」
「落ち着いて狙ったら当たるぞ」
「そういうもんかなあ……」
「そういうもんだぞ。なんなら俺の方が上手いんじゃないか?」
「それだけはゼッタイにない!私の方がこの剣を使うのが上手い!」
「それじゃあしっかり見させてもらうわ」
「〜〜〜〜〜!!!ムカつく〜!」
アタシが使ってる剣は全長1.7メートルくらいのロングソード。あさっち曰く、“
そんで、はぎちゃんに言われた落ち着いて狙うってのをやってみる。
というか、はぎちゃんも当たってはいるけど当たってるだけで火力が低いのか知ら
んが弾かれてる。これ多分アタシが斬らないとどうにもならんやつだ。
2メートルくらい先にいるシカみたいなやつを狙う。
これもあさっちから聞いたことだけど、ツヴァイヘンダーは体の後ろに構えて、体の前に勢いよく振りながら薙ぎ払うらしい。まあそんなことをしたら周りの草やら木やらに引っかかって刺さりそうだし、普通はやらないらしいけど上から下に振り下ろす。
「えぇいっ!」
スカッ
「え?」
ズドォン!!
「「うわぁっ!?」」
「おい如月もうちょい手加減しろよ……」
「ちょっとよくわかんない」
「おい」
真上から振り下ろしたツヴァイヘンダーは見事にシカを逃し地面に突き刺さった。衝撃はものすごくて、刺さった瞬間地が少し揺れた。そして剣の周りの土が少し盛り上がり砂埃が立った。
「やーやっぱり火力の高い武器って楽しいね!」
「当たらなきゃ意味ないんだが?」
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるって言うじゃん?」
「そいつは鉄砲じゃない上に手数も少ないんだが?」
「あー……まあそこはどうにかなるっしょ」
「それでいいのか」
「いいんだよ」
「あれ?ねーねーはぎちゃんここどこ?」
「は?何言って……あ」
「「迷ったあああ!!!」」
一方その頃朝凪&時雨&睦月
『着いたー!!』
「いやーほんとに疲れた。変なことして森に入るもんじゃないわ」
「元凶あんたでしょ」
「そうですよ」
「そうだった」
「「迷ったぁぁぁ!」」
「なんかやばそう」
「どうする?
「
「「賛成!」」
「でも何燃やす?」
「適当にそこらへんの枝燃やせばいいっしょ」
と、いうことで、そこらへんに落ちてた枯葉やら枝やらをかき集めて熱の宝石で火を点けることにした。
10分後
「こんなもんでいいかな」
「そうですね。それじゃあ早速火を点けましょう」
さっき触る時は熱かったので蒸れるから外してた手袋を着けてオレンジの宝石を持つ。それでもやっぱりまだほのかに温かい熱の宝石を、枯葉と枝の山に放り込む。
するとたちまち赤い火を上げて燃え出した。灰色の煙が空高く上る。
その頃の矢矧&如月
「もう!この剣抜けない!」
「なんでこんなに抜けないんだ……って」
「「うわぁぁぁぁぁあああ!!!」」
さっきまで散々引っ張っても抜けなかった如月の剣が突然抜けた。俺と如月の有り余った力で剣は空を舞い、そしてまた突き刺さった。今度は地面に対してほぼ垂直に。(悪化した)
「あーもう!いい加減抜けろ!」
俺は力ずくで引っ張り上げる。すると今度はなぜかあっさり抜けた。剣の刃がある所は、まあなんというか、お察しだった。戦う前は銀色の長い刀身を持つカッコいい
「……ごめん」
「どうした?」
「いや、素直にあんたに渡してればこの
ったのかなって」
「ああ、まあ気にするな。俺も俺で、あん時はああ言ったけど剣なんて俺も上手く扱
えたかはわかんねぇからな」
「とりあえずそこらへんの川で汚れだけ落としてお前の
「……わかった」
近くの川へ向かって、汚れた刀身だけを洗う。まだ残ってる刃で指を切らないように手袋をして、擦るようにして刀身を水に浸けながら洗う。
刃こぼれした刃先はどうにもならんが、とりあえず汚れだけ落として、如月の背中に斜めに装備されている、肩上から膝下まである長い鞘に刺す。
「持ってていい?」
「おう」
「……あ!はぎちゃん!なんか煙見えるよ!」
「? ……あぁ、狼煙か。多分朝凪たちが上げたやつだな」
「じゃああっちの方行ってみよう!」
「そりゃあもちろん」
俺はそこらへんに弾かれて落ちた矢を拾い腰の矢筒に入れて芝生に置いておいた弓も手に持つ。そしていつの間にか先に行っている如月を追いかける。時計を見るといつの間にか11時どころか12時30分を指していた。
数分後
「「着いたー!!」」(矢矧・如月
「まったく。私らに感謝しなさい?」(睦月
「ほんとだよ」(朝凪
「あ、そういえばお二人は何か狩れました?」(時雨
「「あ」」(矢矧・如月
「お?」(睦月
「「成果はゼロでした!すいません!」」(矢矧・如月
「いやまあ全然いいよ」(朝凪
「だね。まあ正直狩れたところで食べ切れないし」(睦月
「ほんと?」(如月
「ほんと。お姉ちゃんは嘘つきません」(睦月
「いやそれは怪しくない?」(朝凪
「なんだって〜?」(睦月
「痛い痛い顔つねらないで!」(朝凪
「お二人とも少し落ち着きましょう。それで、
「「「「…………」」」」(時雨以外一同
「私が作るんですね。わかりました」(時雨
「やったー時雨ちゃんのご飯だー!」(睦月
「あまり期待しすぎないでくださいね。私としては睦月さんのお料理も食べたかった
ですが」(時雨
2人が戻ってきてからしばらく会話が続き、調理係が決まった頃には時間はすでに12時から13時に変わろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます