第8話 昼食と町長の頼み
1節 街と街を繋ぐ鉄の馬
「おお〜でっかーい!」
「凄い迫力ですね!」
「やーこんなすごい機関車を間近で観られるとは……」
駅に到着した機関車は、想像してたよりでかい。
全高はだいたい5メートルくらいあるだろうか。全長は、正直ぱっと見はわからない。でも高さを5メートルとするなら、大体30メートルは超えてそうだ。
日本で有名なデゴイチことD51型は19メートルだ。それだけでもこの機関車がだいぶデカいことがわかる。
それだけでなく、この機関車はだいぶ変わっていて、車輪が、
簡単にまとめると、「やばいやつ」ということ。
運転台の窓の下には、“MSE-1000”と書いてある。この機関車の形式だろう。
ボイラーには小さいタンクとかごちゃごちゃした配管類が大量に装備されている。
こんなロマンしか感じない
後ろには真っ白い貨車が10両も連結されている。駅に隣接されてる倉庫から貨車へ大量の木箱が運ばれていく。開いたドアからめちゃくちゃ冷気が流れてくるので、十中八九冷凍車だ。
今更だがホームへ入るのに切符は必要ないようで、列車に乗ってからお金を払って車掌から切符をもらうようだ。(駅員情報)
この駅の名前は、“ビレノート駅”と言うようだ。立て看板に書いてあった文字は異国のものだが、不思議と読める。
発車時刻は11時20分。あとカップ麺一つ分で出発する。
時刻表をみてみると、列車が来る時間が貨物と旅客で色分けされている。ついでに日本では国鉄解体と共に消滅した貨客混合の混成列車もあるようだ。羨ましい。
「そろそろお腹空いてきた〜」
「だなあ。でも昼飯とかあるか?」
「作り置きしていたのは今日の朝ごはん用なのでないですね……」
「あ、そういえば車の中にお金あったよね?それでパンとか買えば」
「正直もったいないような気もしますが……背に腹は変えられませんね」
ということで僕らは車に戻ってお金を取り、パン屋へ向かうことにした。そう決めた頃、大きな汽笛の音を上げゆっくりと巨大な機関車は走り出した。
2節 おしゃれな街でお昼ご飯
この世界のお金はヘレトと言うらしい。変わった名前だ。
よくファンタジー物の作品で見るような、金貨・銀貨・銅貨で価値が違うという感じらしく、金銀銅全て大中小と3つずつで合計9種類あり、十進法で大金貨まで交換できるようだ。便利なものである。
1枚の小銅貨で1へレト、1枚の中銅貨で10ヘレト、というように上がり、大銀貨では100000ヘレトらしい。
かなり読みづらいメモにそう書いてあった。
真衣が渡していたお金は、合計2000へレトだ。
意外と多くて安心した。
多分価値的には1へレトが1円と同じだろう。要するに2000ヘレトは2000円。
やっぱり割と少ないかもしれない。
適当に雑談しながら、時々ゆっくり走る車を避けながら、中世の街並みを歩いていく。
大体10分くらい歩いたら着いた。
「うわ〜どれも美味しそう!」
「しかもすごく安いですね!」
店には色々なパンが並べてある。ついでにどれも安い。店員曰く、この街でとれた小麦を使っているためこれほど安くできているそう。そんなこんなで100ヘレトのパ
ンを5つ買って、近場に公園があったのでそこへ向かって食べることにした。
公園は色々な人がいて、子供からご老人まで様々だ。規模がやたらでかいのと、遊具があまりないのを除けば日本にある公園とあまり変わらない。
適当にベンチを探して、座って食べ始める。買ったのは普通のパンで、大きさは両手で持って収まるくらいのサイズ。お昼には十分だ。
金がないのでどうしようもないのだ。食べ終わったら、とりあえず車に戻ることにした。
「やあ、見ない顔だな。旅人か?」
そう話しかけてきたのは恰幅のいいおじさんだった。
3節 町長からの頼み
「そうですが……何か用でしょうか?」
僕と矢矧はすぐに一歩前へ出た。
「まあまあ、そんな怪しいことをするつもりは無いからさ、とりあえず話を聞いてくれないかい」
「怪しい人は大体そういうことを言うんですが……まあ聞くだけなら」
「いやそこでOK出すなよ」
「ならばここで話をしよう。大勢の目があるから私も勝手なことはできないだろ
う?」
「ほら、こう言ってるし」
「……まあいいか」
「私の名前はクラーマー。この街“ビレノート”の町長だ」
「町長さんなんですか。変な態度を取ってすいません」
「まあ何も知らない人同士だし、警戒するのもしょうがない」
今は僕とクラーマーと言う町長で1対1で話をしている。なぜ僕を代表に選んだのかは知らないが。
「それで話なんだが」
「はい」
「畑を荒らす動物を退治してくれないか?」
「えっ」
「退治って、僕たちがですか?」
「そうだ。この街は農業を主産業としているんだが、最近近くの森からくる動物が食べてしまうことが増えてね。調査に行ったら、猪のような魔物の巣があることが分かったんだ」
「まさか……」
「そのまさかだ。君たちにはその巣を壊して欲しいんだ」
「そんな、僕たちはまだ戦闘経験は浅いんですよ。武器も全員分無いですし」
「魔物の巣とはいえ弱い奴らしかいないようなのだ。それに武器ぐらいなら武器屋に頼めば用意してくれるだろう。もちろん報酬も用意する」
「は、はあ……」
「どうするかは君たちで決めてくれ。今日はここの宿に泊まるといい。泊まる分の金は渡そう」
「決まったら、また明日ここの公園へ来てくれ」
そう言い大銅貨5枚を渡しクラーマーは去っていった。
「……どうする?」(朝凪
「いや俺に聞かれたってな。武器は用意してくれるみたいだが、一人自分よりでかい剣を持って外しまくるやつもいるしな」(矢矧
「いっぱいいるなら当てられるわ!」(如月
「迷いますね……危険はあるでしょうが、報酬がもらえるとなると」(時雨
「だねー。弱いやつしかいないってなると、一応私たちにも勝機はありそうだけど」
(如月
「じゃあ……戦う?」(睦月
「だとしたら武器を誰がどれ持つかとか決めないとだな」(矢矧
「だね」(朝凪
ということで、全員が何を持つか決めた。
僕が普通の剣、睦月も普通の剣、如月は
すげぇ。全員攻撃でタンクとかヒーラーがいねぇ。なんだこの脳筋パーティー。まあ装備が揃ってきたら、多分睦月が弓役になって、時雨がヒーラー、矢矧がタンクとかになってくれるだろう。たぶん。
そんなこんなで色々やってたら陽が落ちてきたので僕たちは宿を探して泊まることにした。
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