第3話 森の中へ
1節 森林探索と採取
時間はすでに午前の10時だ。正直、
「なんもすることがねぇ!!!」(朝凪
「いやなんかあるでしょがあさっちや」(如月
「そうだぞ。やりたくないことをサボるのはよくないぞ」(矢矧
「そうだよ朝凪。よくないよ」(睦月
「別にサボろうとはしとらんわ!僕をなんだと思っとんねん!」(朝凪
「バカ」(如月
「アホ」(矢矧
「天然」(睦月
「最悪の三拍子やめい!」(朝凪
全く。本当に隙あらばイジってくるから困る。
しかも矢矧と如月は常習犯だがたまに睦月とか、時雨までもがイジってくるので困る。
でも普通にやることがないのは紛れもない事実である。特にやることがないのだ。
・・・・・・・・・・・
「あっ!!!!」(朝凪
「今度はなんだようるせぇな」(矢矧
「なんか当たり強くない?」(朝凪
「なんのことだか」(矢矧
「おい」(朝凪
「そんでなんか思いついたのか?」(矢矧
「そりゃあもちろん!この朝凪様に任せなさい!」(朝凪
「いや、坂田くんに任せると不穏なので遠慮します」(時雨
「わかる」(睦月
「それな」(如月
「女性陣さん!?」(朝凪
「本当にお前のテンションはわからんな」(矢矧
「てかそうじゃない」(朝凪
「思いついたやつなんだけど、“狩りの練習をする”っていうのはどう?」(朝凪
「というと?」(如月
みんなに説明する。実は車の中に入っていた荷物の中には、食料が何もない。
だが、剣や弓などの武器が入っている。
なので、そいつらを使って森の中の動物を倒したり、それとは別で川で魚を採ったり薬草を摘んだりすれば、食料が手に入るのではないかということだ。
中学生が武器を使っていいのかって?そんなものは知らない。
ということで、如月が剣、矢矧が弓、睦月、時雨、僕は植物や魚の採集をするということになった。如月が適当に剣を振り回して如月や矢矧が怪我しないかが唯一の懸念点だが。
2節 堅実な採取と迷子
「それじゃー気をつけてねー」
「そっちも変なもん拾ってくるなよー」
「わかってるって」
僕らは二手に分かれて採取へ向かう。
今回集めるものは、“魔宝石”と“薬草”だ。
この世界の物についてはなんもわからんので貨物室からいくつか本を持ってきた。ついでになんか面白そうなものとか役に立ちそうなものがあれば拾っていく。
リアカーみたいなものはないので、手で持てる分と、腰のベルトのポケットに少し入れるくらいしか持ち帰れないが。魔宝石は13あるうちの何種類かを集めていく。
この世界には13種類の魔宝石があるそうだ。
それぞれ、赤色の炎の宝石、青色の水の宝石、黄色の風の宝石、緑色の草の宝石、紫色の雷の宝石、橙色の熱の宝石、茶色の土の宝石、白色の光の宝石、黒色の闇の宝石、紅色の時の宝石、暗い灰色の無の宝石、そして紺色の星の宝石だ。
この12種類を掛け合わせてさらに属性を作れるらしい。
そして、この12種類は魔術に使われる宝石なのだが、それとは別でピンク色の魔宝石がある。これが13種類目だ。
その魔宝石は通称“回復の宝石”と呼ばれているらしく、通称の通り、この宝石は使うと回復できる・・・とかそういう訳ではなく、粉々に砕いて薬草と一緒にスープに入れるなりして食べると、薬草の効果を強めることができるというものらしい。ついでに、緑の自然属性の宝石と一緒に使うと傷を一瞬で治す回復魔法の強化にも使うことができるという。
なので、宝石はそのピンクの宝石を集めるが、オレンジの宝石もいくつか集める。魔法のためとしてはまだ使うことはできないが、置いておくとその周りが暖かくなるらしい。なので、手に持って暖を取ったり、鍋の中に水と一緒に放り込むとお湯にしたりできる。魔法以外でも用途のある便利な宝石らしい。ちなみに、炎の宝石まで行くと、素手で持ったまんま2分くらいすると
その熱さから石炭や重油などの燃料に火をつけるために機関車や溶鉱炉などで使われるのだとか。まあまだ魔法を使えない僕らからしたらただ綺麗なだけのクソ熱い石でしかないので今回は持っていくことはしない。
次に、薬草も何種類か採取する。何かって言うと、いろいろ。薬草というのは本当に万能なようで、疲れを取ったり、入眠しやすくしたり、今までの世界であったような様々なサプリメントとか薬とかの効能を備えているようなものすごい数類の薬草があるようだ。なので薬草の調合には高い技術が必要らしく、精々僕らができるのは、鍋に薬草と砕いた
今回採取するのは、疲労回復の効能があるもの、自然治癒能力を一時的に高められるもの、そして薬草ではないが、おいしく食べれられるらしい山菜だ。
どれも一目でわかるものなので、間違えて毒のあるものを食べるとかは無いはず。ついでにキノコでも取れると良いだろうが流石にキノコは怖いのでやめておく。
そんなことを考えながら、3人で森の中を散策する。森の中は当然だが木がたくさん生えている。その中には、さまざまな色の宝石が垂れ下がっている木とか、
宝石が垂れている木の周りには、さまざまな色の宝石が生えている。比喩でもなんでもなく、生えている。例えるなら、大小様々な水晶みたいなのが何箇所かにまとまって生えているような感じだ。その宝石の木の近くの、ピンク色の宝石がある所。
根本をハンマーで掘って採取したいのだが、そんなものはないので、適当にナイフの刃先がない方をガツガツぶつけて取る。多分あんまよくないけどこうするしかない。薬草とか山菜は、間違えて違うのを持ってきて怒られると嫌なので2人に任せる。
なので僕は宝石を掘る。何回か叩いているとヒビが広がってポロッと落ちた。
落ちたピンク色の宝石を持ってみると、光が透き通ってヒビで複雑に反射し輝いている。冷たい感触が心地いい。そんな宝石を何個か集めていると、少し離れた所に焦げたような黒い幹の木を見つけた。その木の周りには、炎の宝石、熱の宝石、闇の宝石が生えているのがわかる。そこへ行ってみると、焦げたような匂いがする。さっき石を掘っていた木を見てみると、炎、熱、闇の宝石は見当たらなかった。
本を開いて見てみると、宝石が生える木は“グロウワードツリー”と言うらしく、普通は炎、熱、闇の宝石は生えないらしい。だが、偶然炎の宝石が生えると木が燃えて炎、熱、闇の3種類しか生えなくなるそうだ。僕はその木から、適当に2個だけ熱の宝石を掘って2人と合流した。
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