第6話 旅の始まり
1節 お待ちかねの夜ご飯
「睦月さん。困ったことが起こりました」
「どしたの?」
「食材があまりありません」
「それは困った」
「どれくらい無いの?」
「1食分足りません……」
「おうふ」
困りました。睦月さんが獲ってきてくれた魚の数は9匹。
本人曰く手掴みだそうなのでそれだけ獲れたことは十分凄いのですが、まさかこんなところで『妖怪1足りない』が出てしまうとは……。
他に食材があれば代わりのメニューも出せるのですが、それも無いです。
だからと言って如月さんと矢矧くんが何か狩ってきてくれたとしても流石に捌けないです。
今から獲ってきていただくのは危険にも程があります。
……………………………!!
「みなさん!」
「どーした」
「今ある魚は4人分しかありません!そこで!」
「今からじゃんけんをして一人負けの人だけが魚を食べられないというデスゲームを行います!」
「お〜〜!!」
「と!いうことで!」
「最初はグー!」
『じゃん!けん!』
『ポン!』
朝凪(グー
睦月(パー
如月(パー
矢矧(グー
時雨(チョキ
「「「「「あいこでしょ!」」」」」
朝凪(チョキ
睦月(グー
如月(グー
矢矧(グー
時雨(グー
「僕の1人負けかよぉっ!!!」(くそでかボイス
◇◇◇
と、いうことで僕以外のみんなは魚を食べているが僕はパンとスープだけだった。それだけでも十分美味しいからいいのだが。
そこらへんの小さい石で円を作って焚き火を作る。そして座れそうな石をいくつか見つけてきてそこに座ってご飯を食べる。
何気ない時間だけど、そういう時間ほど楽しくて、あっという間に過ぎてしまう。不思議なものだ。
時間はもう20時。いつの間にか昼頃あった空の雲は晴れて、綺麗な星たちが夜空
に咲いて満天の星空になっていた。
星座は何故か昨日までの世界でも見られるものがある。
冬の大三角、
星はやはり綺麗だ。
4人の仲間達とだらだらと駄弁りながらただずっと星を眺めていた。
「あっ!みんな森見て!」
「えっ?うわっすごい!」
森を見ると、木にぶら下がっていたりしている宝石が光っているのだ。
赤い物、青いもの、黄色いもの、ピンクのもの、そのような明るい宝石だけでなく茶色いものや、見ずらいが黒いものも光っている。
やっぱりこの世界は不思議だ。
「これからこんなに綺麗な世界で旅していくんだねぇー」(朝凪
「だな」(矢矧
「楽しみだね!これからどんなことが起こるか!」(如月
「少し不安でもありますけどね」(時雨
「あっ!流れ星!」(如月
「え?どこ?」(睦月
「あっ消えちゃった……」(如月
「お願いはできましたか?」(時雨
「うんっ!」(如月
「なんてお願いしたんだ?」(矢矧
「“1人もいなくなることなく“ずっと旅が続けられますように」(如月
「これは明日からもいいことがあるかもな」(矢矧
「だね」(朝凪
しばらく会話した後に僕は寝袋に入った。長いピンで軒下のようにされている入り口を閉じて、中に吊るされているランプを切る。そして、寝袋に入って寝た次の日の朝………
「おーい起きろーーー!あさっちーー!!!」
「ぐっへぇ!?」
2節 最悪の目覚めと旅の始まり
僕は如月に寝袋の上に飛び乗られた衝撃で目を覚ました。
バカなの?頭おかしいんじゃないの?腹痛に耐えながら寝袋から出る。
この恨みは絶対どこかで返す。絶対に。
「今日は出発する日だからって運転手をそんなふうに起こさないの」
「えーいーじゃん楽しみなんだから」
「いや、子供か。普通に起こさせてくれよ……」
「……てか、え?僕があれ動かすの?」
「そりゃあ、昨日お前はエンジンを動かせたからな。それなら車動かすことだってできるだろ」
会話していると、時雨と矢矧はすでにキャンプ用具を片付けているようだったので、適当に寝袋を預けると、しょうがないので僕は早速エンジンを動かす準備を始めた。
昨日と同じように、クランク棒を回しながらスロットルを上げ、エンジンを起動する。最初は重いが、回すごとにだんだん軽く、速くなる。
パッパッパッ!
ガラガラガラガラ!!
昨日のようにエンジンはうるさい音を上げ動き出した。
巨体の動力を支えるそれの力の源はガソリンではなく
るのでそこそこ速度は出ると思うが。
計器類の意味は未だにどれがどれかすぐには見分けはつかないが、多分きっと恐らく大丈夫だ。少なくとも温度計はやばい数字になってないしエンジンも変な音はしていない。
回転数が安定するのを待ったら、一度外へ出る。
朝食を食べるから。
料理は、パンの缶詰、今度は如月が川で手づかみで取った魚の串焼き、そして山菜の炒め物だ。
草を食べるだけで治るものだから不思議だ。ちなみにそこそこ美味しかった。パンの缶詰はふやかすと時間がかかるとのことでふやかさなかったらしく、だいぶ硬かったが。
テントやら調理器具やらの頻繁に使うものは屋根のルーフキャリアに、楽器とかその他のあまり使わない荷物は荷物室に、本とか薄っぺらいものは壁をくり抜いたような本棚に。そして荷崩れしないように適当にベルトで全ての荷物を固定する。
そこそこ荷物はあるが、それでも3分の2くらいはスペースがある。やろうと思えば多分
それからトランクを閉め、全員車に乗り込んでドアを閉めたのを確認したら僕も運転席へ乗り込み扉を閉める。そして、左手でクラッチレバーを握り、右手でハンドルを握る。そして、一言
「それじゃあ、果てのない旅に出かけるとしよう」
クラッチレバーを押し上げると、エンジンの動力が全ての車輪へと伝わり、重い音を上げながらゆっくりと走り出した。
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