第15話 クエスト生活〜薬草採取編その2〜
1節 多種多様な薬草たち
「んで、なんの薬草を採取するわけ?」(朝凪
「あーそれ?」(睦月
「それ聞いちゃう?」(如月
「それを聞いてしまいますか……」(時雨
「えなになんかやばいの?」(朝凪
「うん」(睦月
「だって」(如月
「何を採取すればいいのか」(時雨
『わからない』(睦月・如月・時雨
「いやなんでだよ」(朝凪
「しょうがないじゃん」(睦月
「なにがやねん」(朝凪
ということで、全員なんの薬草を持っていけばいいのかわからないという状態。なんのために2時間もかけて来たのか。
「まあさ、一回クエストは諦めてさ、普通に食料を調達しよう?」
「まあわざわざ来たわけだしなあそうするかぁー」
ということで(2回目)、僕らは薬草とか山菜とか魚とかを大量に採取することにした。
大量といってももらったクーラーボックスの容積は、縦300mmの横600mmで高さ300mmくらいだからあまり入らないと思う。思った。
文字起こしすると案外デカいなこのクーラーボックス。cmにして
それとは別で、貨物室にはまだまだ余裕があるので、初級魔法とかに使えるらしい様々な魔宝石を各2キロぐらい積み込む。具体的には炎、水、草、風、雷の5種類だ。
本来めちゃくちゃ熱い炎の宝石は、水の宝石を近くに置くと温度が熱の宝石と同程度以下になるらしいのでそれを利用して保存する。
「んじゃあ宝石は僕と矢矧、魚は吾妻、薬草と山菜は時雨で始めよう」
「りょうかーい」
「わかりました」
「オッケー」
「わかった」
そんなかんじで僕らは3チームに分かれて行動を始めた。
2節 魔宝石は不思議だらけ
「んじゃー行くかー」
「何を集めるんだ?」
「炎、水、草、風、雷」
「色で」
「赤青黄色緑紫」
「りょーかい」
ということで僕ら男子組は魔宝石を集めることになった。適当に
このためにビレノートでくそ安い鎌とノミとハンマーを全員分買ってきたのだ。安
くてもまあまあ強度はありそうなので安心。
というわけで小さめのサイズの魔宝石を探し、宝石の根本にノミを押し当て、その持ち手をハンマーで叩く。すると何発か打っていると勝手にポロっと落ちるので、これで採取ができる。
そうして手に取った雷の宝石は、不思議な様子だ。
雷の宝石は、主にというかほぼ全ての魔法が攻撃魔法で、命中すると感電させられるらしい。
素手で触ると少しピリピリとし、宝石の中には小さな雷が常に走っている。陽の光が当たると手が見える程にまで透け、稲光はさらに強くなった。そんな宝石を2人で2キロくらい集めると、1度車に戻り小箱に詰め込んだ。
また戻り、次は風の宝石。
これは黄色の宝石で、触ると風が吹き付けているような感覚になる。この宝石には雷の宝石のように中に何かあるようには見えない。
それに、大きさの割にかなり軽い。風の宝石は謎に数が少なかったので5、6本くらい回り30分くらいかけて集めた。
その次は水の宝石。
水の宝石は攻撃も防御も半々くらいでバランスのいい属性らしい。水の宝石は青色。探して掘って手に取ってみると、深い青色をしていて、サファイアとかそこらへんの宝石が近いかもしれない。透明だからラピスラズリとかとも少し違うし。
この宝石は、なんとなく予想はついていたが持つと手が水の中にあるような感覚になる。振り回すと水の中で手を動かして水流ができるような感じもする。
光に当ててよく見てみると、綺麗な海や学校のプールで見るような、光の網が張られているのが見れる。
そしてさっきの風の宝石とは反対に、大きさの割にかなり重たい。本物の水と同じかそれ以上に重い。
そんな水の宝石は、炎の宝石の温度を下げるのにも使うため、他よりも少し多めに採取した。風宝石と水宝石を一つずつ両手に収めると、氷のような冷たさになった。
次は緑の草の宝石だ。
この宝石はやたらと量が多かった。宝石の木とその周りに生えている宝石をまとめて、1番割合が多いのがこれ。
この宝石は、大地属性と合わせて壁を作ったりして防御魔法に使うことが多いらしいが、基本的に回復魔法はこの草属性が行うらしい。ピンクの回復の宝石と一緒に使えば、強力な回復する魔法陣を作り上げたり、グロ映画に出せるような状態でも数十秒で治したりできるらしい。その魔法の難易度は相当高いらしいが。
色は緑といってもそこまで深い緑色という訳ではなく、鮮やかな黄緑色をしている。この宝石も他の宝石と同じくらいの量を集め、貨物室へ放り込んだ。
そして最後は炎の宝石。
これはまあ、イメージのまんま攻撃魔法が大半らしい。熱属性と炎属性を組み合わせた爆炎属性は、どの属性よりも強力な攻撃ができるそうだ。
この宝石は素手で触ると普通に火傷を起こすので皮手袋をはめて採取する。
炎の宝石は、手に持ってよく見てみると、宝石の中に火が燃えているような揺らめきが見える。そしてこれも、他と同じくらいの量を集める。そして、また車へと持っていく。
3節 積み込み
「いやー疲れたなあ」
「だね。3時間か4時間ぐらいずっと掘ってたんじゃね?」
「そうだよなぁ……」
とりあえずこの宝石たちをまとめて、適当に余っていた箱に詰め込む。雷、草、風、そして、炎を囲むように水を置く。すると真っ赤だった炎の宝石が、だんだん色が抜けて淡い色になっていった。
それでその箱を置く。この貨物室、ワイヤーラックみたいなのがないから、どうやって詰め込めばいいのか困る。上に重ねたらそれはそれで下のものが取り出せないし。今度家具屋を探して組み立て式の棚みたいなものがないか探そう。
流石に自作できるほど技術家庭ができる人はいないし。
現在はまだまだ余裕があるが物が増えていくと車中泊できなくなるだろうから、お金がないからと言ってそこらへんの駐車場で寝たり、テントを出すのをめんどくさがって車の中で寝たりする、なんてことはできなくなるだろう。
「あ!おーい!」
「みなさん帰ってきていたのですね」
そんなことを頭の中で考えている頃、たくさん魚介やらを抱えた吾妻姉妹と薬草や山菜の詰まったカゴを持った時雨が帰ってきた。
10分くらいかけて積み込み、早速採ってきた食材で時雨に昼食を作ってもらった。
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