たらふく蜜をあたえれば、かぶと虫のメスはオスをたべない。   ひとは?

人は? きっと、蜜をてさぐりする夫婦は日々もどかしくて、ほんとは甘い。

ものを創り出されるひとはけっこうに、性別をつかいわけている
または脳を、性別が多種あつかえる仕様に訓練していると、思う時があります。

妻はこう思っていて
夫はこう考えていた
こまやかな思いやりの行動一つでも、もどかしいくい違いのある視点。

冷蔵庫に使いかけの生姜をおく

女はそれ違うよといらつく
いや、そうじゃなくってさと男は切なくなる
ずっと一緒にいる年をかさねて、お互いの思いの色違いに苛立つ、ふたつの視界。

見事な視点の書き分けの仕掛けに、すっかりはいりこまされて
つれていかれるラストシーンには、涙ぐむあたたかさまでもらえました。

たっぷりと積み重ねた日々の分だけ苦味も面白みも芳醇な、ふたつの存在の組み合わせ
この「夫婦」の関係には、やさしくあまい蜜がある。


※目線の違う性別を同時にあつかう作者さまの手のひらの上で、転がされるのも楽しいですよ♪

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