眩暈がするような重苦しく怪しい世界

冒頭は1970年代、ハイソなお嬢さま学校に通う美少女洋子の話に始まります。

洋子にはときおり恐ろしい記憶がよみがえり、恐怖させられています。彼女は幼少時、言葉がしゃべれず、まるで動物のようにすばしこく動き回る手のかかる子でした。今ではすっかり素敵なお嬢さんになった洋子には将来を約束されていた青年茂がいましたが、彼は突然行方不明になり、洋子との結婚を猛反対していた茂の父までもが行方不明になります。

いったい、彼女にはどんな過去があったのか、それを紐解くうちに、闇に隠されていた根深い因縁があれよあれよとイモづる式に明らかになっていきます。いったいこの悪の根はどこまで広がっているのかと不安になるほど、話はどんどん広がっていき……。

かつて(?)人身取引大国と言われた日本で起きていた忌まわしい現実。それが独特な語り口で連綿と綴られ、いつしか物語の泥沼にはまり込んでしまいます。決して異世界ではない、でも、現実とは思えない世界での出来事に、眩暈を感じつつ読みふけってしまうことでしょう。