レビューが上手く書けません。
書きたくても書けないことが多く、手が止まることもしばしば。
踏み出してはひっこめて、結局、諦める。
そんなことを繰り返しています。
でも、それはレビューだけじゃありません。
大人になると、色んなことを諦めがちになります。
それが当たり前になって、始める前から無意識に言い訳をして、真正面から向き合わなくなる。
それって、勿体ないことなんですよね。
この物語の登場人物は、高校生です。
多感なお年頃で、子供でも大人でもない。
何者にもなりきれない、彼ら彼女らのお話です。
『生徒会』という青春小説ではよく見かける設定が軸になっています。テンポは良いです。でも、ライトノベルのように軽くはありません。時の流れも言葉も物語の中に根付いていて、私たち読者に彼らの迷いや苦しみ、そして、希望をダイレクトに伝えてきます。
決して短い話ではありませんが、筆者さまのエールが詰まった素敵なお話です。
少しずつでも良いので、触れてみてください。
そして、読み終えた時あなた自身の表情を鏡で覗いてみてください。
きっとそこには、過去に置いてけぼりにしてしまった『あなた』がいて、今の『あなた』を笑って迎えてくれている筈です。
そして、こう言うのでしょう。
――おかえり、と。
会長と書記の新しい繋がりから始まる、生徒会の3人の関係はまさに青春。
この3人のやり取りが、どうしようもなくせつなくて、涙あり、泪あり、なみだあり。の物語となっています。
今まで出来なかったことを生徒会長に導かれ、体当たりで取り組む主人公の環季。うまくいった時には笑いあい、哀しみにくれるときには思いっきり泣く。
高校卒業が近付くにつれ、物語は加速していきます。エンディング間近の『二律背反』の意味がわかってしまったら・・・心がふるえる。
メディアでありながら、双方向のツールとして成立しているラジオ。ラジオの向こうには何が有るのか?誰がいるのか?
私はこの物語を通して、あの日においてきた青春に出会えました。
「青春」がいつの間にかアオハルと呼ばれるようになって久しいですが、
今現在、「青春」を謳歌されている方。そんなときもあったなぁと昔を懐かしむ方。
全ての方々に、私はこの物語をお読みいただきたく、レビューを書いています。
こんなにも美しく、切なく、完成された物語に私は今まで出会ったことがありません。
本作は、登場人物たちの内面の葛藤と、悩みの中に生まれるドラマを繊細に描き出し、「青春」の甘さと苦さを存分に味あわせてくれます。
そして物語に引き込まれた後にたどり着く感動のラスト。
「ラジオの向こう」そのタイトルが指し示す先には何が待っているのでしょう?
是非、ご自身の目で確かめてみてください。
「青春」この二文字を見事に体現した大傑作です。
私の拙いレビューでこの物語の素晴らしさがどこまでお伝えできているのか、
自分の語彙力の無さ、表現力の無さが、本当にもどかしいです。
ぜひ一度、ぜひ一度、お読みください!
本作が、多くの方の目に触れることを願って。