あとがき

 最後までお読み頂きありがとうございます。


 そしてお詫びと少々お話。





 まずはお詫び。


 このあとがきと第3話は、後に削除される可能性を秘めている事をお詫び致します。コメントや応援を頂いた方には、大変申し訳なく、ここに深く謝罪致します。


 なぜ可能性かと言えば、まだ悩んでいるからです。


 お気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、この物語は児童小説の応募規定、その最大文字数12,000文字を越えております。構成上、実は第3話を削除しても物語としては成立する様に書かれています。削除すれば規定に沿います。でも現状はそのまま投稿しております。


 なぜなら、僕がこの物語を書く時に最初に思った事。


 児童小説は子供が読むものだけど、それを本屋さんで買うのは親御さんである場合が多いです。僕はまず半数程度の予測で、購入者である親御さんが本を手に取り中身を確かめ、自分のお子様に読ませるかどうか検討してもらう場合を想定して書き始めました。


 第3話はそういう場合を考えた時の、僕からのメッセージです。勢い余り結果的に文字数オーバーを生み出しました事をお詫び致します。


 そこには児童小説を遥かに逸脱した内容を書き込みました。とても小中学生が読むものではありません。でも小中学生でもこういう内容を理解してくれる子もいます。


 商業作家を目指す書き手としては、文字数オーバーはとても不誠実でモラルのない事ですが、僕は現状この形を選択しております。僕の意志を表現する方を選択させて頂きました。削除するかどうかはまだ決めかねております。現状、僕は失格を選ぶ気でいます。


 お読み頂き、応援して頂いた皆様には、本当に申し訳ないと思っています。


 それと、僕の書いた第3話が「いじめ問題」に関して絶対の正解だとは言いません。とても尖った内容です。むしろお読みになりご不快になった方もいらっしゃるかと思います。


 それでも一つの考え方を提示したかったのです。


 2022年、全国で自殺した児童の件数が初めて500人を越えました。全員がいじめ被害とは言いませんが。過去最多です。


 死を選ばれる孤独な魂に僕の出した答えは「愛」です。


 第3話でその意味を記しています。


 ここに文字数オーバーに対するお詫びを、先ずは書かせて頂きました。皆様からのお叱りのお言葉、臆する事なく自由にコメント下さいませ。僕は責任を持ってひたすら謝り続けます。





 続いてお話。


 この物語に出て来る先生、そんな人物は夢物語と感じる人も多いでしょう。でも現実にも少し違いますがそういう先生はいます。そこでモデルではありませんが、先生を生み出すきっかけとなった実在の先生のお話をさせて頂きます。


 作中と同じく僕が小学5年生になった時、担任の先生は大学を出たばかりの新人教師でした。若くて空手をやっていたせいか少しごつくて、でも性格は明るく人気がありました。


 その先生は一学期にご結婚されて、僕と友達の男の子や女の子が「お嫁さんをみたい!」と言い、休みの日に先生のお家にお邪魔しました。部屋に案内された僕達に先生と奥さんがお茶と御菓子を準備する為に席を外した時です。


 当時の僕はすでにませた子供であり悪戯好きで、「ふふふ、チャンスだ!」と言い先生のベッドの下を家宅捜査しました。すると無地の茶色い袋に入れられたあるモノを発見し、「え、なになに?」と好奇心を見せる友達の男の子と女の子の前で、その中身を出しました。




 エロ本でした。




 十数冊のエッチな本を見て男子は「おおおっ!」と目を輝かせ、女子は「きゃああああ!」と小さく叫びながら同じく目を輝かせました。DVDでない所が渋いです。


 そしてそれを袋に戻し、とんでもなく恥ずかしいモノを発見されどんなリアクションをするか楽しみに、僕は戻って来た先生に「先生! これはなんですか?」と白々しく目の前に出しました。


 すると先生は特に慌てる風でもなく、どかりと座って笑顔を浮かべました。


「これはな、先生の友達が結婚式の時に『これから励め!』と言ってプレゼントしてくれたものだ!」


 と堂々と語られました。


 小学生の時の僕はマンガみたいに慌てふためく姿を想像していたのに、先生は実に素直に、そして真面目に教えてくれました。いや、むしろ友達を思い出して嬉しそうでもありました。


 だから、子供頃の僕は素直に「先生ってすげぇ!」とその人間性に感動しました。


 これが作中の先生を考える上できっかけとなった僕の思い出です。







 それともうひとつ。


 僕のいじめ実体験の話です。


 作中の冬花に比べれば、全く大した事のない話です。むしろ、「この程度でいじめを受けた事がある」なんて告白するに値しない、とお叱りを受けるくらいのなんでもない話です。


 それは同じく僕が小学生の頃、同級生に友達にお菓子をあげたり、ゲームセンターで奢ってやる奴がいました。そいつは親御さんがほとんど家にいなくて、お金をたくさん与えられていたのです。そしてそのお金を使い、明確に自分の子分や仲間を多く作る奴でした。


 そいつが僕にも同じ事をしようとしました。


 でも僕はゲームを奢ってもらう言われはないし、意味もなく御菓子を貰う必要もなく、「そういうのはいらない」と断りました。


 すると、明らかに不思議な顔をして財布から千円札を出し、「好きなの買っていい」と言います。僕が自分で欲しいモノを決めるタイプと思ったみたいです。もちろん「いらない」と断りました。すると、急に不快な表情を浮かべ不貞腐れました。


 どうもその後、周囲で変な空気が生まれ、僕を仲間外れのぼっちにする動きが始まったみたいです。でも僕はのんきな性格だったので、特に何も気にしてませんでした。それが後に決定的に分かる事態に遭遇します。


 その日は体育祭の予行演習を各クラス合同で行う日でした。丁度先生方が音楽の準備か何かで席を外した時です。その嫌な子が何かをみんなに言ってました。すると僕の周囲から男子がどんどんいなくなりました。


 今でも忘れませんが、僕はテントの中でひとりぼっちで立ち、その向こう50メートル程先に、他の全クラスの男子が奴を中心に集まっていたのです。


 圧倒的な孤独。


 しかも、他の女子達が見てる前での晒し者。


 僕はその瞬間、不覚にも寂しさを感じてしまいました。


 普段遊んでいる子達でさえ、僕を裏切って向こうにいます。子供の面白半分での行動だとは言え、当時の僕にそう考える余裕はありません。


 でも、僕のメンタルはそこで終りません。やってくれる、と思って逆に堂々としました。僕は自分は間違っていないと思うし、そういう人間に屈してはいけないと考えるとても頑固な子供でした。


 奴が何かを言ってましたが、僕は一切のへこんだ様子も狼狽えも見せません。そんな僕の態度を見て、集団から一人の男の子が僕の側に走って来ました。その子は奴の一番の親友で、金とかを越えて最も信頼しきっていた男の子です。


 その子が奴に向かって、「お前は間違ってる!」とはっきり言いました。


 実は僕はこの子とも仲良くしてました。するとすぐに複数の男の子達が僕の側に走って来てくれました。そして僕の横に立ち、「ごめん、俺達は味方する」と言ってくれました。さらにその子達の動きを見て、他の子達も堰を切ったみたいにどんどん移動して来て、結局全員が僕の側に立ち、「こんなのしちゃいけない」、「間違っている」と口々に言い、気が付けば奴が一人ぼっちになっていました。


 まるでマンガみたいな話ですが実話です。


 当時の僕は割といろんなグループの子供と分け隔てなく遊ぶのが好きで、顔が広かったのです。奴が金にモノ言わせ仲間を集めても、僕は遊ぶ時に率先していろんな事を想い浮かぶタイプだったので、まぁ、変な話、こっちの方が面白いや、と集まってくれたのかも知れません。


 後日談として奴は詫びを入れて来て、僕は仲直りの意味で暫く一緒に遊んでました。


 僕が体験したのは、こんな大した事のないいじめです。


 他にも学生時代は何かしらの事がありましたが、結局は友達に僕は助けられました。そういう経験値を持っています。でも僕だって常に正しいわけでなく、人に距離をおかれたり、傷付けた事だってあります。だから、そんな大した人間ではないのです。


 今回の物語で、先生はいじめ対策の報告をせず、独断で解決に乗り出しました。それは現代の教育現場では危険視される行動でご法度です。


 でも先生は大人の介入ではなく、子供の介入を選択しました。


 子供の世界には子供なりのモラルやパワーバランスが確実に存在しています。先生はそこに善意を見出し、子供達を信じて素直に頼ったのです。


 大人である自分が出来る事は僅かだし、力で押さえつけるのは不可能です。表面上は抑えても、それは報告書の中の体面に過ぎず、実質的な解決はないまま、却って事態が混乱させると考えたのです。


 この物語はファンタジーかもしれません。でも、僕は実体験として友達に救われる、子供のモラルでいじめが消える、そういう瞬間を目の当たりにしているのです。


 もっと酷いいじめはたくさんありますが、それでも僕は周辺にいる人間の「善意」を信じています。そして「愛」がなくてはいけないと、堂々と宣言する為にこの物語を書いたのです。


 は、恥ずかしくなんか、ないんだからね!


 最後までお読み頂き誠にありがとうございました。




                             福山典雅

























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