チュッチたちについての、けん究日記
武江成緒
チュッチたちについての、けん究日記
11月30日
きょうはチュッチたちにチーズをあげた。
きのうまでのけん究けっか ――― ごはんやパン、野さいは食べなかったし、肉はちょっとずつしか食べないから時間がかかって、先生にみつかるところだった。
チーズはパクパクたべてくれた。10分で、まるいはこのチーズが全ぶなくなった。
チュッチたちはねずみににてる気がするから、それでかもしれない。
しばらくチーズをあげてみることにする。
12月2日
チーズを2コつかった。
教しつのすみにチーズを1コおいて、チュッチたちをそこへあつめた。
むこうがわ、ななめのむこうのすみに、もう1コのチーズをおくと、チュッチたちはみんな、教しつをおうだんして、それを食べにいった。
みんな1れつになって、トトトー、って、行進してるみたいだった。
食べる時間もはやくなってて、5分とちょっとではこが空っぽになった。
12月16日
チュッチたちは、肉も食べてくれるようになった。
実けん材りょうは、きゅう食にでた鳥のからあげ。
皿をひっくりかえされてゆかにおちたのを、1コひろっておいた。
こなチーズを肉にふりかけてあげると、前よりずっとはやく食べてくれた。
これならうまくいくかも。
1月10日
冬休みは学校にいけなかったけど、チュッチたちは元気みたいで安心した。
学校のまえの公園に、休みのあいだもよく黒シマたちがいるから、あぶなくてようすを見にいくこともできなかった。
金ようなんか、ソラのさんぽに行こうとしたら、門のまえをサワ田とナガ井があるいてたから、あわててドアをしめた。
ソラが外できゃんきゃんほえてて、あいつらに何かされてるんじゃないかって、すごく心ぱいだった。
チュッチたちが休みにたべるために、教しつのロッカーのうらにチーズをおいといたから、きょうまで元気だったのかも。全ぶなくなってた。
あたらしいチーズをあげると、みんなまた1れつになってはしってきて、パクパク食べてた。
2月20日
りょう理した肉にくらべると、生の肉はまだゆっくりだけど、チーズをふりかけると、はやく食べてくれた。
きのうと、先しゅうの金よう日は、チュッチたちのなきごえをマネして、じめんにチーズをこぼすだけで、あちこちのかげから出てきてくれた。
そんで、トテトテトテー、って行進して走ってきて、肉にあつまってぜんぶ食べてくれた。
これでもう、うまく行くかもしれない。でも心ぱいだ。
これい上は、実けん材りょうを手に入れるのがむつかしい。
ムギのからだを、どっかにかくしておけばよかったかも知れない。(この一文は上から線をひいて消してある)
うそ。
ムギを食べさせるわけにいかない。
それに、それにネコの肉と人間とでは、ちがうけっかになるかもだし。
3月22日
実けん成こう。
3月23日
きのうの実けんについて。
チュッチたちは、チーズをふりかけたら生肉もぜんぶたべてくれた。
これで、このけん究日記もおしまい。
毛がわまでぜんぶたべてたべてたべて理かしつのひょう本みたいにほねだけになった。ほねだけになったほねだけになったソラ。
あばらぼねとか足のほねとか、おれたみたいになっててあれはチュッチたちがたべたんじゃなくてあいつらがあんなひどいことしたから。
たぶんムギのほねもあんなふうにもっとひどいコトになってたとおもう。
ふざけんななにがサッカーだあいつら。
あいつらぜったいにぜったいにぜったいにあいつらもただじゃすまないすまさない。
もうチュッチたちを公えんにつれだすのは何回もやった。トテトテトテー、って行進して行しん行しんして、かずもだいぶだいぶふえたから。
だから2年生を3人くらいだったら、もう、10分もあればだいぶ食べられるぜんぶたべるたべられるはずきっと。
あいつらがいつもいるベンチのうしろからバカみたいにゲラゲラわらってゲームしてるうちに、こっそりこっそりいってこなチーズかけるかけてやるかけるかける。
そしたらあとはチュッチたちが。
でも、やっぱりちょっと心ぱい。ほんとにチュッチたちがにんげんの肉をたべてくれるのか。
だから、さいごの実けん。
ぼくの、この小ゆびの先の肉ちょっとぐらい、このぐらいだったら切りとっても、あしたの作せんには
問だいないよね。
チュッチたちについての、けん究日記 武江成緒 @kamorun2018
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