彼岸の怪異と、そしてやはり名古屋メシ

シリーズファン垂涎の短編にして、シリーズ入門編としても高い完成度を誇る一作です。

入門編としておすすめできるポイントは、まず短編であること。
本シリーズは短編連作です。それぞれの事件ごとに、事件発生→依頼→名古屋メシ→調査→名古屋メシ→怪異との対決→解決、という一連の流れが繰り返されます。
これは今作でも徹底されており、独立した短編であることからシリーズの作風を掴むのにうってつけです。

そして本シリーズの持つ独特の雰囲気が、ここにきて熟成されていること。
名古屋、ひいては愛知県という地域に古くから伝わる伝承・歴史・伝説など、土着の文化に基づいた怪異との戦いが本シリーズの主軸です。名古屋という地域を舞台にしているからこそ生まれる雰囲気・情緒が、シリーズを通して描写されています。
今作ではそれが過不足なく、ちょうどいいバランスで描かれているので、初心者の方でもかなり読みやすいと思います。

ぜひ本作を入門編として、シリーズの沼にハマってみませんか?

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