拍動

西暦1430年代・マヤ文明末期のメキシコ・ユカタン半島。その都マヤパンから抜け出した奴隷の少女・チョップが辿り着いたのは北西の小さな村、イシャン。
村人の歓迎を快く受け取るチョップだが、イシャンの少年・カカオは、自分が明日死ぬことになっている、と明かす。イシャンでは神イシュタムへの信仰によって人々が首吊り自殺を行っていたのだ。マヤ社会では自殺、特に首吊り自殺が尊い死に方とされ、実行したものは死後の安息を約束されていた。
カカオに助けを求められたチョップはカカオを村から逃しつつ、カカウの大樹に攻撃を加えた。それはサバンナの中の村にあって最も水を与えられた唯一の大木であり、村人が自殺する際に枝にロープを括るという役割を果たしていた。
チョップは自らが投獄されるも、カカウの大樹を全焼させる戦果を挙…続きを読む