第3話 それは幸せなことであって、不幸なことだ
ふとなりあん
それは日本を変えるための方法 その結果がどうなるのか誰にもわからない。
ただの可能性。それだけだ。
人口の減少に悩むある都市の現状を嘆いていた。
年寄りが増え、その負担が自分にも来るのではないかと。
若い人は離れていき、それを止めるすべはなかった。
すべては社会が悪いように思えてならなく。
嘆き、悲しみ、苦悩するが解決策が見つからず、立ち上がることが出来ずにただ朽ちていくのみの人生。
その先にあるものは目に見えていた。絶望!と簡単に言っておこうと思う。
もしかしたら自殺の要因もそこにあるのではないかと思ったりもする。
人とは簡単に絶望するものだ。もうどうにでもなれと。
世界の歯車の一つが外れた。代わりのもので補おうとするが、それもまた壊れている。もうないのかと、もういないのかと、人手不足を嘆くようになり、皮肉にも機械へとシフトしだした。
それが原因なのか富の集中が起き、行き渡らなくなる。
決して機械を否定しているわけではない。
だが、段々と都市から人が消えていき、もはやゴーストタウンと言ってもいいのかもしれない。
暗い、暗い場所が段々と感染者を作り、シャッターを下ろしていった。
仕事が機械に取られた人々は簡単に社会から切られていく。いやそう仕向けられているのかもしれない。それもまた歯車だ。
それでもと挑んだ改革は失敗し、借金だけが膨れ上がった。
もはやどうすることも出来ないと頭を抱える国の現状。
その者は光を探し手を伸ばす。しかし弾けて消える。まるでヤバい薬で幻覚を見たかのようだ。
気付けば砂漠の中を歩いていると言っても信じないかもしれないが・・・それでも生きていかなければならない。
水を求めながら、この砂漠を歩いていく。進むことを止めてはならないと、立ち上がれない心に言った。
「・・・そんなくだらない物語。」と部屋の中で一人呟いていた。
部屋の中は散らかり、ゴミ袋だらけ、今日のご飯はどうしようかと悩み。
起き上がるのも億劫だ。
ただこのまま朽ち果てていく人生なのかと嘆き、それを変えられない自分に腹が立つ。悲しいくらいに一人だ。
だが一人はいい、煩わしい人付き合いなど苦手で、このまま引きこもっていたいくらいだ。しかし、それは許されない。この社会の歯車の一つとして起き上がり夜勤に行かなければならない。
俺はぼさぼさの頭をかきながら、ボイラーのスイッチを押して・・・シャワーを浴びる。
「冷た!冷た!」と踊り散らかす。
そう言えばこの前ガスが止められたのだった。このままじゃ風邪を引いてしまう。
俺は今日は仮病という重病で仕事を休むことにした。
「勇樹君、あまり休みが続くと・・・ごめんだけど辞めてもらうことになるよ。」と店長が言ってくる。
「すみません。」と誤る。
「それじゃ。」と電話を切られた。
俺はこのまま、何も出来ずに死んでしまうのか?
ずっと心の中で、そう問いただしていた。なにも答えがでないまま、過ぎていく無為な時間。無気力にそれに年齢的な焦りに涙し、狂って俺は出来ていた。
たどり着けない場所がある。このまま終われない理由がある。
「俺の名前は、ただ消えていくためにあるのだろうか?」それって物凄く虚しいことだ。
一流のスポーツ選手を見ているとああなりたいなと思った。
ああ、悔しいなと思う感情に似ている。
だがこの歳になると、もうその先に進むことが出来なくなる。
もう何もかも諦めていいんじゃないかと思う様になってしまう。すべて捨ててしまえれば楽になる。
「そんな勇気はないというのにな。」一人しかいない部屋で独り言を呟く毎日。俺は一体、何者で何になるんだろうか?
「何者にもなれずに朽ち果てるだけこの都市と同じ運命か・・・。」俺と似ている。
諦めと挫折、そして終わりゆくカウントダウンの音がなっている気がしてならない。
苦悩と悔しさ。しかし、それらを解決するすべを俺とこの都市は知らない。
緩やかに衰退するだけ、俺と同じで朽ちていくだけかとセンチだ。
このK市の運命はもはや朽ちていくだけだ。誰の目にも明らかだった。
近隣の市が代わりに大きくなり、それに比例するように人口は減っていく。
そして若人は年寄りの介護を嫌がり、すぐにこの都市から脱出を図る。
大きな市に行かなくても大都市に移っていくのは変わらない。
この歪な国は人口の一極集中から抜け出せなくなり、地方は衰退の道を歩むのみだ。
「なんて歪なんだろうか?いや、彼等は歪で素敵なのかもしれない。ふつくしいというやつだろうか?」終わりに近づく足音が聞こえているのをまだ気付いていない。
「それは幸せなことであって、不幸なことだ。それに気付いたものは不幸なのだ。」いや、聡く気付いるものは逃げ出している。外国に住める決意ができる。俺は・・・賢くはなく愚かなもの。そんな奴が気付いたら、不幸に嘆くしかない。
そう言うシステムが気付けば出来上がっていたのかもしれない。まるで機械のような国だ。バグがあるのに皆気付いていない。
ラグが発生することで、止まってしまう瞬間を恐れてしまう。
そうして少しずつ経済は麻痺をはじめ気付けば破裂してしまう。
「ぼん!」とカップ面のふたが湯気で開いてしまう。それを食べだす俺。
ズルズルとすする。
「ゴホゴホ。」と咳き込んだ。やはり風邪を引いてしまったようだ。
「うん?」と俺はSNSに連絡が来ていることに気付いた。
友人の川山からだった。
「また飲みの誘いか、そんな金はないのにな。はぁーやっぱり一人で生きたい。」今の俺はそう思っていた。次に川山と話すまでは・・・
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