第2話 歴史の中で名前を残すにはどうしたらいいか?
ただこの国の歴史に名を刻みたいだけ・・・
歴史の中で名前を残すにはどうしたらいいか?
昔なら天下を統一したり、偉業を成し遂げたりと色々な方法があったかもしれない。
しかし、今の世の中にそのような事は出来ない。
情報社会になったことで、アイディアは次のアイディアに押しつぶされてその価値感は風化していっている。
高校生の時よく考えた。
この世界を征服するにはどうしたらいいか?
その答えは世界と共に死ぬだった。
そんなこと無意味に等しい。
俺の名前が残るわけがないのだ。
人が皆死んだ記憶の中で生きていも仕方ないし、つまらない。
俺は世界の皆の中で生き続けたいのだ。
ならば世界に悪名をとどろかせるか?
どう忌まわしき記憶と共に、下手したら塗りつぶされてしまう。
俺は決して大悪人の道に踏み込みたいわけではないのだ。
世界征服への道はそこで絶たたれた。
ならば他の道に進むしかない。
スポーツ選手になればいいではないか?
元来から身体は弱くてどれもこれもやって見たが、しっくりくるものはない。
大見出しで地方予選一回戦で敗退!そんな新聞の未来なんてあるわけがない。
スポーツも諦めた。
ならば芸術はどうか?音楽教師にはただ声が大きいだけの素敵な声ですね。
微妙な笑顔でそんなこと言われても嬉しくはない。
ピアノを引いてもチャルメラが精一杯だった。
絵を描けば何か混ざりあった。
まるで異次元の世界に行けそうな絵だったが・・・
それがあまりにもどす黒かったので、魔界にでも通じているのかもしれない。
そんな絵を見た妹が気に入って持っていってしまった。
俺はもう、そんな絵は描かないと決めた。
文章を書けば文体がめちゃくちゃ。
「エロい小説みたいだね。」と恥ずかそうな顔で言う彼女に取られていった。
なんでだろうか?あっ今は元カノね。これ大事!
性格の不一致で結局別れてしまうことになる。
人の言い訳も聞かない。狂暴な暴力女だったのだ。
この時ばかりはどうして人は分かり合えないのかと思った。
そんな奴、こちらから願い下げだった。
俺は物書きの道も諦めた。
一応ポエムを書いたこともあるがすべて妹が回収して行って、自分が何を書いていたのか覚えていない。
「これは私の教科書、すべてを超越した世界にたどり着くための呪文。」とか言っていたが意味がわからなかった。
そして文化方面がダメとなれば、今度は政治に走るしかない。
大学では経済を勉強して、政治の道へ踏み込もうとしたのだが・・・なにより僕には人望がなかった。
ただ、主人公の隣にいるモブ。そんな役柄しか出来ない悲しい大学時代だった。
ちなみにこの時まで彼女と付き合っていたわけだけど・・・その縁で今もこの安アパートに住み続けているわけだ。
要するに腐れ縁になってしまったのだ。
「家賃!家賃!」とごほごほと大きな声でそんなことは言わないで欲しい。
周りの住人が見ているぞ!
「ふっ、罪づくりな男だ!俺は・・・。」そんな風に言ってしまったのはなんとなくだった。指摘してはやらない。だって元カノだから・・・
そしてマスコミがあまりに政府のスキャンダラスなことを放送して、俺もこの人たちと同じ運命をたどるのかと思えば、足踏みして踏み出せない。
そして総理大臣になればいいかと思ったが、さっきも言ったが人望は皆無だった。
精々がそのお付きの人で終わる。
ただでさえ総理大臣になっても国民の全員が覚えているわけではない。
覚えていても一時的な事だ。
俺の野望にはほど遠い。
ここで俺の政治の道は断たれる・・・
「どうしたものかな?」と俺は大学時代から考えていた。
ずっと、ずっと今までもそしてこれからも考え続ける。
考えることをやめるわけにはいかない。だってそれが俺だからだ。
それから何年か、俺は夢破れてなんとやらの引きこもりのニートになっている。
まぁ一応働いているからニートではないのか?と疑問に思う。
「家賃!家賃!」と相変わらず元カノの言う声が響き渡っている。
「そろそろ指摘した方がいいのかな?」と俺は大人になったのだ。
そうして問答し続ける。俺の名前をどう世界に刻むのか?轟かせるのか?
「よし、世界の一番有名な秘密結社に入ろう!」この時の俺はまだ、この先に起こすであろう数々のことを知らなったのだ。
俺は世界で最も有名な秘密結社のサイトの加入ボタンを気軽に押していたと思う。
しばらくは結社加入をしていた事さえ忘れて、自堕落で諦めた引きこもりの日々を過ごすことになる。
その結社の名前は皆が皆聞いたことのある名前だった。
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