第11話 仲良くとんこつ!

「らっしゃーい。お客さん何名?」と言う声がする。


俺は何人かでラーメン屋さんに来ていた。

店はガラガラだった。

だけど、俺はこの店のラーメンは好きだった。


俺はいつもの定位置のカウンター席に座る。


もちろんラーメンには好みがある。

塩、醤油、味噌まぁ色々だ。


そしてここの県となると、とんこつラーメンで決まりだ。

もちろんそれ以外でも美味しいラーメン屋さんはあるが・・・


俺はもやしををたくさんの奴か、チャーシュー多めか迷ったりしていた。


そして白のおにぎりを頼むのを忘れない。

皆はチャーハン派だろうが誰がなんと言おうが白のおにぎり派なのだ。

これだけは譲れないかもしれない。


俺はもやしチャーシューラーメンを頼み。

わくわくしながらあれが来るのを待っている。

キター!白のおにぎりを食べる。


この至福の時を大事にしている。噛めば噛むほど塩とお米のうまさが心に沁みてくる。


「ああ、生きてて良かった!」と感動する瞬間なのであった。


隣では妹がそんな俺を見てクネクネしている。


「ああ、お兄様、どうして貴方はお兄様なの?」とか言ってくるが知らん。

「あんたのブラコンはどうにかならないの?」とか真理愛が言っていた相手は任せた。


俺はこの至福の時を邪魔されたくはないのだ。

皆も思い思いの物を頼んで食べたりしている。


「へい、お待ち!」と言ってくる。

そこに出されたのはもやしマシマシ、チャーシュー多めのラーメンだ。


そして俺はラーメンには高菜だ!忘れてはいけない。ドバドバ入れていく。

ちょっと引いている人もいるが、そんなの知るか!

俺は我が道を行くぞ!


「しかし、残念だな、谷口と言ったか。」と食べながら言葉を喋った。

「そうですね。一緒に来ればよかったのに・・・」と妹が同意してきた。

「ああ、あいつとは話が合いそうな気がしたよ。」と俺は嬉しそうな笑みを浮かべる。


「まぁ皆の連絡先でグループも作ったしな。何かやる時とか集まってやれるだろう。」

「まるで大学のサークル見たいですね。」と楽しそうな顔の髪の毛を目元まで伸ばしている女の子、名前を田村 恋と言う。



「まぁ実際、そのような物だろう。」と俺は頷いてやる。

「兄貴!」と俺に駆け寄ってくる拓真。


「どうした?」

「なんか俺、役立たずじゃなかったすっか?」と聞いてきた。

「そんな事はないぞ。このことを広めるためには沢山の人の協力が不可欠だ。お前の頑張りには助かっているさ!」

「兄貴ー!」と言って抱きついてきた。わんわん泣いている。


「まったく。俺はどうしたらいいんだ?と言うかラーメンの麺が伸びるぞ!」

「あっそうでしたね!」と元の位置に戻って行った。

どうやら同僚と話しこんでいる。

あいつも川山の事で成長したのかもしれないな。

俺はとんこつスープを飲みながらそんなことを思っていた。



あいつ西島 拓真とあった時は髪がすっごい髪の色で、実際どう接したらいいかわからないような人種だった。


あの髪の色は強烈だったな。

今、思い出せば笑い話かもしれない。

西島は恥ずかしがるだろう。


「と言うか、なんで俺の回り女ばっかなんだよ!」と文句を言ってやる。

「それは私と妹ちゃんが女の子だからよ!」

「お兄様、前々から言おうと思ってましたが、人付き合いはきちんとした方がいいですよ。未だに元カノが近くにいちゃ、次の彼女はできません。もちろんその候補に私を入れてもいいのですよ!」と言ってくる。

「いつも思うが頭おかしいんじゃないか?」思わず口にしてしまった。


「ガーン。」と落ち込む妹。


「ふふん、ほら見なさいよ。」

「とか言って、腕を絡めてくるのやめてくれないですか元カノさん。」


「ガーン!」

そう言われて岡 真理愛は落ち込んだ。フラれたと思ったらしい。


「どうしたのこの二人?」と疑問に思う田村。

「ごめん、たぶんいつもの奴だから気にしないで放っておいたら直る奴だから・・・」

「?」と疑問に思うが今はスルーしておこうと決めた。


「あっ、よろしく恋ちゃん。」と手を差し伸べて来たのは東堂 京子と言う女性だった。

「こちらこそ、京子さん。」と二人は友情を結んだ。


皆、それぞれ友人を作れた見たいでよかったーと俺は安心した。

こういうのは仲がいいことでより良く発展して行くものなのだ。

俺は締めの白おにぎりを頼み。

今日最後の至福の時間を堪能したのだった。



俺達はそれぞれが別の場所に帰っていく。

家庭があるもの。

明日は仕事なもの。

そして引き篭もるもの。


「そう言えば家賃は?」と恐い顔で俺の襟元を掴んでくる。

「あっ、明日。」と俺は目線を反らした。

「払えるわよね。」顔が近くて恐いです。


「は、はい!」と俺は直立不動だった。


そして素早く逃げる。

これは未来への前進だ!と思いながら・・・



そんな俺だが、帰ってこれからの行動を考えていた。

やはり街頭での演説に署名活動。

各市議会議員の説得。

やることは山ほどある。


そして名前を変えるだけでいいのか?と言う問題もだ。

俺は実は名前を変えるだけでいいと思う。

県を府にするだけのこと。その名前を変えるだけで変わったと印象付けることができる。


次に組織だ。

枠組みを考えるのは難しい。これも現状維持。


最後に賃金の問題だった。

俺はこれに頭を悩ます。

はっきりこのふとなりあんという提案。


県を府にするというのは変化を起こすということだ。

それをどう表現するのか?

その答えが賃金の上昇しかない。

相対的には将来上がるだろうと予想するその理由付けが必要だとも思っている。


その理由がふとなりあん。


しかし、それは同時に反発も生む。


今の状態を維持したいと思っている企業はいくらでもいるのだ。

そして乗り遅れるものも。

経営状況に嘆いているもの。


それらの企業の賛成も取り付けないといけない。


「そっち方面は頭が痛いぜ!」なぜか俺の頭の中で金髪君、谷口のことを思い浮かべる。

「まぁ今際の際になったらあいつに頼るかな?」と俺は決めた。

きっと今頃盛大なくしゃみをかましているだろう。


一度、近松先生に相談しに行かないとダメかなと思った。

俺だけでは力不足だった。

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