道糞がゆく！　〜ロクでなし僧はくのいちと堺の町を奔走する〜

　天正十一年（一五八三年）。商人の町、堺。
　戦国時代の麒麟児・織田信長が本能寺で倒れ、織田家の後継者争いを通して、羽柴秀吉──後の天下人・豊臣秀吉が台頭し、覇権を握りつつあった時代。

　その坊主は、戦国時代にありながら、争いとは無縁の生活を送っていた──とある乱破の少女が転がり込んでくるまでは。

「わしは道端に落ちている糞じゃ」

　鬼畜、人でなし、小心者、くず、阿呆、うつけ……大いに結構。
　なんと蔑まれようとも、わしはみっともなく生き恥を晒し続けると決めたのだ。



※一応歴史を調べながら書いていますが、史実と異なる部分が出てくるかもしれません。気づき次第修正はしますが、悪しからず。