序章『生きる』
第零話『君と確かな道を踏む』
空を飛ぶのは、始めてじゃない。だけれどこれが最後だと良いと思うのは、安心からか、それとも困惑が変な思考を呼び起こしているのか。
ともかく、灰色の風景の中、俺は久しぶりに見る異世界病者に塗れた現実世界に戻ってきた。
「はは……ほんとに死んでねぇのかよ。あの馬鹿天め」
生きて、戻ってきたのだ。それに、まだ世界は灰色のまま。
奇跡の継続、つまり軌跡も継続している。
ただ、この力がいつ消えるのかは、分からなかった。
とりあえず俺は、屋上の鉄柵に括り付けてあった鍵袋を手に取り、黙ったまま屋上の扉から室内へと戻った。途中に埃が積もっていたのを、チラリと見る。
「なんで、俺は最初、アレを灰だと思ったんだろうな」
そこからの俺の毎日は、一歩ずつ歩く事ではなくなった。
眠る、起きる、灰色の風景に安心をする。
それを繰り返すだけの日々、時々外に出る事もあった。ただ刻景の縛りとして俺が動き回った場所にしか行けない。行ける所なんてそうそう限られている。まだ幻想の力が残っているのか、空腹の時はあれど食べずとも問題は無いようだった。病になるような感覚もない。
だからひたすらに、俺はあの日を待つ。
――戻るべき日は、ハッキリと覚えている。
眠る、起きる、灰色の風景に安心をする。
眠る、眠る、眠る、眠る。
繰り返す、繰り返す、繰り返す。
日を遡る度に募る不安を、掻き消すように眠る。
何百回も考えた『もし明日目が覚めたら世界に色がついていたなら』
何千回も考えた『もしこの瞬間世界に色がついてしまったら』
戻るべき日があったとしても、朝日が死を選ぼうとした日が、俺が飛んだ日より後だったとしても。それは俺が望む未来では無い。
場所は知っているから朝日は救えるかもしれない。
だけれどそれは、異世界病に腐敗された現実の中で、また絶望を見ながら生きるだけの話だ。
だからこそ、戻るべきは、あの日なのだ。
眠る、起きる、灰色の風景に、安心をする。
「……ん、たまに、は。声も出さなきゃ、な」
久しぶりに声を出した、いつぶりだろうか、数ヶ月ぶりだろうか。
この灰色の現実世界に戻ってきてすぐは独り言を言う事も多かった。
だけれど何年も遡る日々を過ごしていたら、それも無くなっていく。
ただ、ただ、希望の為に無味な日々を過ごす。
続く、続く、一人きりの日々。
「寂しい……もんだな」
答える相手はいない。フィリあたりに、今の俺を見せてやりたい。
遡っていく、一秒ずつが一日ずつが、頭が痛くなるくらいに、狂ってしまいそうなくらいに、長く感じた。
星との会話を思い出す。アレも物凄く長い時間だったような気がするが、それでもそこに存在があり、対話があった。だけれどこの世界には、俺一人だけが灰に塗れている。
手の温もりが、肩を叩く心地良い痛みが、馬鹿みたいな笑い声が、見守る目が、あれば良いと思った。
だけれど、それをもう一度見る為に、俺はそんな俺自身の我儘の為に、本来はありえない二度目の現実を、取り戻す為に。
だから眠る、起きる。そして、灰色の風景に、安心をする。
やっと五年、まだ、残り半分。
この五年だけでこれだけ辛かった。残りを耐えられるのだろうかと不安になる。常に色づく可能性のある世界に怯えながら過ごす毎日、俺はいつ壊れてしまうのか、不安で仕方が無かった。
でも、絶対にそれは無いという自信もまた存在した。
――何故ならば、たった今一人であっても、一人でなくなる過去があり、色づいた未来があると、信じているから。
ひたすらに動き続けた日々、苦しみながらも生を実感していた日々、生きている誰かがいて、完全な一人では決して無かった日々、それらがどれだけありがたいことだったのだろうと、時々情けないと想いながら、時々泣いた。
嬉しくも、苦しくも、俺の滑稽な魔法は、続く。
どれくらい経っただろうか。
遡った時間を気にしないという癖がつきかけていたある日、俺は首を振る。
「流石にその日くらいは、覚えて……なくちゃな……」
その瞬間が、始まりの合図なのだから。
――異世界病者が生まれたきっかけの日。
その日を遡った。色々な、忘れそうな事を思い出しながら、静かに立ち上がって、小さく灰色の床を踏んだ。
だけれど戻るべき日は、この日でも無い。
俺の力を、約十年近く使わせてくれた、星に深い感謝を想う。
同時に、頼むからもう少しだけと願いながら、俺は『始まりの二人』が幻想に堕ちた日を見て、ふと笑った。
「ほんと、馬鹿な事、しやがって」
そこからは一日、一日、日をめくっていく。
無味な日に、匂いが漂い始める。
俺の姿が、少しずつ若返っていくのが分かる。それは時々鏡を見て、笑っていた。つまりは、刻景の力も終わりに近づいているという事なのかもしれない。
集中しているつもりは無い。それでももし解けてしまえば一瞬にして刻は動き出し、目的が終わりになる。
異世界病者が生まれない未来は作れるかもしれない。けれどそれは俺が望む終わりではない。俺は本当の『始まりの日』を待っている。
――油断するわけには、いかないのだ。
一日、一日、一日、
あと、一日。
彼女が死んだ日を、俺はよく覚えている。
若返った自分を見て、より強く思い出す。
いつだったか、箪笥に適当に放り込んだままの学生服に袖を通した。
もう、あとほんの少し。
少しだけ、世界に色が付き始めていた。
それは俺がその日に辿り着いたという合図なのかもしれないし、限界を迎えようとしている合図なのかもしれない。
俺だけが、刻を遡っている。刻景の上では、未だにあの愛しい仲間達は、あの瞬間に存在するのだ。
「十年か、星にはほんの一瞬かもしれないけれど、止まった刻の中では一瞬かもしれないけれど、俺には、長かったよ」
俺が刻景を解いた瞬間に、あの世界で起きたあらゆる事実が消える。
残るのはフィリとアルゴスの記憶と、俺が保持している記憶だけだろう。
何度も考えた事だ。俺が飛んだ日、要は半界からこの世界に戻ってきた日に刻景を解いたならば、たった一人、俺が飛んでから死を決意した朝日を救う事は出来たかもしれない。愛する人を救えたかもしれない。
だけれど、それだけじゃ俺は、満足出来ない。
それだけじゃ彼女は、絶対に納得してくれない。
たとえ、俺の事が分からなくても、きっと、俺が知っている朝日は、朝日だけを救って許してくれるような子じゃあない。
それに、俺は朝日を愛して、彼女に恋をしていたから。
だからこそ、全てを始まりに戻さなければ、いけないと思った。
俺の過去への移動と共に、少なくとも星と神の人知を越えた出来事以外は全て、巻き戻る。
フィーリスはきっと俺がしようとしていた事を理解した上で、俺を送り出したはずだ。星もまた、そうだろう。
あの世界は現実を受け入れたのだから、星と神が受け入れたならば、巻き戻した所で、この記憶を持った俺がいるという事実だけで、あの世界の存在の記録は、確かに成されている。
今、この時点では未知の可能性で起きた現実を、俺は俺の頭の中に持っているのだから、ある意味で許され続けたのだ。
星の失態の記憶を、神の失墜の記憶を、持ち続ける事をあの二人は良しとしてくれたのだ。だからこそ、俺は過去へ進める。
「じゃあ、行くか」
俺は学生服を着て、十年前の暑い夏の日へと、歩き始めた。
時刻は、ハッキリと覚えている。太陽が、眩しく見え始めて、俺は走る。
――だって俺は、今日この日を想って、十年間生きてきて、十年間遡ってきたのだから。
灰の無い、だけれどまだ灰色であってくれと願いながら、道を駆ける。
遡り、未知の上を歩く事が許された奇跡。
十年遡った、無味な時間の長さを忘れるように汗を流しながら、声に鳴らない声をあげながら。
――これが俺の『始まりの日』
俺は、自分が通っていた学校に入り、屋上の扉を背にする。
その扉の奥に誰もいない事を確認して、俺はやっと大きな息を吸う。
「はぁ……間に、合った!」
――俺が本当にしなきゃいけない事が、これから始まる。
「刻景……解除!」
パッと色付く世界に、思わず目を瞑った。そうして、目が慣れた瞬間に、正しく色付いた世界に、目尻に涙が溜まった。
ちょっとした音が、どんな音楽よりも綺麗に聞こえた。
「ありがとな、星」
「しゃーない! ここまでだかんな!」
「なんだ……いたのかよ。話し相手にでもなってもらえば良かった」
「アクタとの話はつまんねーからな! 殴り合いならいくらでもしてやったけど!」
それは御免だ、と思いながら、グリグリと星の頭を撫でた。
「ほら、持ってけよ。此処からは、本当の俺の力でやるから」
「おう! しっかりやれよ! ついでに! これはイキ? ってやつだ!」
星は、嬉しそうにこっちを見てから、振り返って、懐かしい声真似をする。
「まぁお前らの事は良く知らんけどよ、貰ったもんは返さねーからな! ……兄ちゃんよ、もう何もかも覗く目は無くてもな、時々思い出してやるよ。心の目ってやつでな!」
その声は、俺が世界の半分を返した、アイツの声だった。
目から始まり、目で終わる。適当に言っているようで、アイツらしい、一声。
もう既に刻景を解いた時点で、目に溜まっていた涙が、零れそうになる。
「くふ」
だが、次の言葉を聞いた時点で、俺は思わず小さく声を漏らして、涙を流してしまった。
「泣いとるのう。嬉しいか? 嬉しいじゃろ? つまりはサービスってヤツじゃな。どうせアクタの事じゃ、ワシの周りにアルゴスの馬鹿しかおらんって事は、お主の前には……まぁこれは野暮な話じゃな」
「あぁ……最後まで野暮だよ、フィリ」
「じゃがまぁ、そんなワシも良いじゃろ? 泣くくらい嬉しいんじゃろ、くふふふふ。でもまぁ、そんな愛しいワシに会えるのは、アクタが精一杯生きてからじゃな。何度でも言うぞ。最高の土産話を持って来い。途中で投げ出してくれるなよ? ワシは、お主らがその人生とやらで創る、お主ら一人一人が必ず持ってくる、その物語を楽しみに、何十年だろうと待っといてやるからの」
「あぁ……任せろ。まずは、一つ目の、話を始めるさ」
「春の事も、頼むぞ。じゃあ最後にさぁびす、神様のとっておきの祝福をやる」
――良き、人生を
フィリの声でその言葉を告げ、星の子の姿は消え、その場には響が飛び降りる予定の、屋上の扉を背にして、泣きじゃくっている俺だけが残っていた。
「ズリぃよ、馬鹿神どもが……」
学生服の袖が湿りきった頃、ふと声が聞こえて俺は声を潜める。
俺がこの世界で始める、最初の戦いだ。
もし、やり方を間違えたなら、結局響の心は歪む。だから、あくまで正しく、通ってきた道で、見てきた現実で、戦おうと、心に決めた。
「やめ、やめてってば……!」
否定の声ですら懐かしく、出てきかけた涙を拭う。何故ならば響だけはおそらく俺が知っている姿のままだろうから。
そうして、階段を登ってくるいくつかの足音。
――それが、俺の前で、止まった。
「よ、響。遅えじゃねえか」
俺の顔を見て、彼女の怯えた顔が、パッと驚きへと変わる。
「え……? あれ?」
驚くのも無理は無い。この時点での俺達はロクな関係性すら持てていない。
だから、俺が響と呼ぶ理由も、響が俺に遅えと呼ばれる理由も無い。
「アクタン……?」
――でも、彼女が俺をアクタンと呼ぶ理由も、あるわけがない。
彼女の頭の上で、一瞬光りが輪になって、消えた。
「はあぁ?! 何でさ! 何でさ!」
彼女は周りにいるいじめっ子の女子をとりあえず一発ずつぶん殴りながら、困惑を表現している。
今までいじめていたヤツらは、それを響の反逆とでも受け取ったのだろうか、口々に汚い言葉を残して階段を降りていった。
この後自殺を強要する程のクズなのに、たったこれだけで退散なんて、本当にみっともない連中なんだなと哀れんだ。ハッキリ言って、いつか異世界病者になったらしい彼女らの人生を想ってやる程、俺は優しく無い。
だけれど、目の前の彼女を想う為の十年は、惜しくない。
「いや、何でだよ」
「知らないよ!! ていうかアクタン若っ!! 何?! 何?! 魔法?? えぇ……夢じゃないよねぇ? さっきまで私達と一緒に半界いたよねぇ?」
騒ぐ響、馬鹿天じゃなく、馬鹿響。急な精神と記憶の変化に、戸惑うのも無理は無い。
だって、俺ですら、響には記憶の共有がされていないと思っていたのだ。
だけれどふと、春が最後に見たの頭を撫でていた事を思い出す。
「あぁ……春」
「あ、あの時!」
俺と、朝日と、響と、仕掛け屋、そうして最後に、とんがり帽子を投げる時に、きっと自身にも。
ラハルとしての力が復活しているのならば、その全容を俺達が知らないのならば彼女は『始まりの二人』の子供だったのだ。
どれほどの力を有していて、何を施されたかなんて、発動するまで分からない。
だからこそ、今理解出来た。春が俺達にかけた最後の魔法は、おそらく記憶の共有。発動条件は、出会う事だ。
それは春の我儘かもしれないが、きっと生まれてくるのなら、もう一度、必ずもう一度会いたいのだと、彼女は強く願ったのだ。
半界の力と星の許しを以てここまで魔法を継続させた俺がいたなら、半界の力を二人分引き継いで産まれた彼女の魔法が、密やかに残っていたっておかしくない。
「とりあえず……まぁ、助けに来たんだけど」
「ん、照れるね。でも私つえーなぁ。大丈夫になっちゃったよ。へへ。だけれどさ、アクタンも私も、やらなきゃいけない事はこれだけじゃないんだよね?」
「そりゃあな、異世界病者は、もう生ませない。その為に出来る事は、何だと思う?」
響を救う。
朝日を救う。
仕掛け屋を救う。
生まれる春を救う。
始まりの二人を救う。
そして、異世界病者達を救う。
――それでやっと、俺が救われる。
俺の我儘を、通す。
辛い現実だろうが、人生だろうが、少なくとも俺は、もう最大の失敗はしない。
だって、それでも生きるという事が大事だって、思ったのだから。
「とりあえず学生やる? まともなヤツ! そうしながら始まりの二人をどうしたろうか考えようじゃん!」
「その前に、とりあえず今日はサボり。互いにまぁまぁ優等生なんだから一日くらい、な?」
それで響は理解したらしい。ニヤニヤしながら「仕方ないなぁ」と俺の背中をパチンと叩いた。
学校をサボって、時間をかけて他県まで行き、とある家のチャイムを押す。時刻は夕方だから、おそらく、彼女も此処にいる。
「あくまで、あくまで、あくまでこれはだな、確認の為であって……」
「しー! 変質者になりたくないでしょ! ていうか会いたいだけでしょ……」
予め聞いておいた朝日の住所、その家の前で、扉を開くのを待っていた。
「はーい! どなたですかー?」
だいぶ幼く聞こえる声、だけれどしっかりと、面影が残っている。
「つ、葛籠抜、芥って言うんですけど……」
隣で響が声をひそめて笑っている、相変わらず相当楽しんでくれているらしい。
「お母さんですか? 今は私しかいなくて……」
そう言ってオズオズと扉を開けた瞬間、大人になった朝日とは違い、短い髪をした、金髪の少女が顔を見せた。
「って、芥ぁ?!?!」
幼い声でだいぶ素っ頓狂な声が聞こえた後に、バタンと扉が締まり、中学生くらいの朝日がそのまま俺の胸に飛び込んできた!
「芥だ!! 若っ!! 何で?! 春ちゃんの力?! それとも愛みたいな?!」
まだ精神がごちゃまぜになっているのか、訳の分からない事を言っている。それでも俺の隣にいる響を見て、朝日も落ち着いたみたいで、俺を抱きしめる手を離しながら、顔を赤らめた。
「朝日、この歳だとなんか、気持ちの上で犯罪チックになるから……」
「そ、そうだよね……未成年同士でもね……」
やや流れる、気まずくも愛おしく、幸せな時間。
「あーあ!! いいよねー! いいよねー!」
確実にぶち壊す、気まずさを気にしない、また愛おしく、楽しげな時間。
――それでも、もう一つの始まりが、待っている。
始まりの二人の暴挙を止める為に、やらなきゃいけない事が、まだ残っているのだ。
「じゃー、まずはこの時点でのちゃんとした大人を頼りにいこっか!」
仕掛け屋の住居も既に聞いてある。この様子なら、きっと彼も俺達を見た瞬間に記憶を取り戻してくれるはずだ。
「ふふー、また皆でやれるの、楽しみだなー」
「私も! とりあえずは早婚は確定かな!」
なんだか二人とも緩めな事を言っていて、一人はとんでもないことを言い出してはいるが、俺はその景色が見たかったのだと思う。
灰に塗れた夢が漂う幻想の中ではなく、辛い事が沢山あるが、夢を追える現実の、この景色が見たかったのだ。
「まぁ、武器はないけどな」
「そこはそれ! 今度は情報戦だ! とりあえずスマホでグループ作ろ! 名前は……」
この馬鹿は戦うなら何でもいいのかと思いながら、俺は笑ってグループの名前を提案した。
「篝火、だろ?」
「ん!」
異世界病者の灰は、もう生まれない。
生命という人間の篝火は強く燃えて、燃えて、そうして灰になるべきだ。
だからこそ、どれだけの絶望や苦難が待っていたとしても、その幻想を夢見ながらでも、創って、挫けて、泣いて、それでも、現実を自分なりに、誰もが自分なりに、魔法に踊らされる事無く、自分の意思で生きていけたなら、良い。
きっと、もし道半ばで終わったとしても、それが異世界病なんていう理由じゃなければ、それはきっと、一つの正しい物語だ。
決して幸せじゃあなくても、俺の知っている最高の神様が、楽しそうに聞いてくれるはずだ。悪い事をして灰になったなら、俺の知っている最高の馬鹿が、思い切りぶん殴ってくれるはずだ。
どんな人生を送っても、その人生はお前だけの物だと笑い飛ばして、掬ってくれる神様達がいる事を、待っていてくれるというう事を、俺達は知っているから。
「よし、じゃあ。始まりの二人がやらかすまでに、さっさと色々始めよっか!」
「朝日は年齢的に土日オンリーね! 人生があるんだから!」
「俺等もだろうよ……。とりあえず次の土日、仕掛け屋のとこだな」
そんな話をしながら、俺達は地面を踏む。確かに、確かに存在する現実の地面。
それを両の足で当たり前のように、そうして奇跡のように踏みしめながら、俺達は、現実を生きていくのだ。
異世界病者の灰を踏む けものさん @kern_ono
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