主人公の中学生、御門碧は霊感が強い少年です。
彼の学校に神子澤耶永という長い黒髪の女の子が転校してきます。
彼女はみんなと仲良くなる為に、周りの人達にブレスレットを配るのですが……。
地震、台風、事故等、災厄は本人に過失なくとも、突然に襲ってくることがあります。
この耶永もその災厄の仲間なのでしょうか。
ある日、なんの前触れもなく突然現れて学校の生徒達を日常を一変させます。
そんな彼女に対して主人公は……、この顛末は小説を読んでお確かめください。
非現実的な話でありながら、なかなか現実感ある物語になっています。
文章も上手くさらさら読めるので、ホラー好きにはオススメです!
恐らく碧絃様もお読みになっていると思いますが、私は少し前に、江口之氏の『西洋魔物図鑑』という中古書籍を購入し、読んでいました。たぶんダイアン・フォーチュン氏の『世界魔法大全:第四巻心霊的自己防衛』を整理引用したものでしょう。その中で、「吸血鬼」の項目に、吸血は次の三種類に分類されています。第一が心霊的吸血鬼、第二が元素霊吸血鬼、第三が不死系吸血鬼と述べられています。
第一の心霊的吸血鬼は、他人から無意識にエネルギーを接種する人間。言い変えればモンスター・クレーマーで、攻撃された人もこれに変わる。
第二の元素霊吸血鬼は、主人を失った「使魔」。
第三の不死系吸血鬼は、房中術系の道士。
問題のヒロインは、心霊的吸血鬼に該当するかなあと感じました。学生のころ、霊能者だという方のご子息から、類似したケースをお伺いしたことがあります。
書店にアルバイト勤務していた霊能者女学生は、店主夫妻が心霊的吸血鬼であると見破って、どのタイミングで仕事を辞めるか、霊能者のご子息に相談なさったのだとか。
あくまで伝聞なので、真偽のほどは不明ですけれど。
このお話は「怖い」です。あ、まぁ、ホラーだから当たり前でしょ?と言われればそうなんですが、そうではないんです。
ホラー読んでると、あ、ここから「ヤバい」ってわかるじゃないですか、それで「やっぱり」ってなりがちなんですが、このお話「やっぱり」ってなる癖に怖いんですよ。なんとなく「先」が予測できるのに「怖い」んですよ。読み終わった時に、心に「とりとめもない怖さ」が残るんですよ。ほんと、夜読んだら「トイレ」にいけなくなるレベルなんですよね。
で、物語の恐怖を引き上げる「小道具」の使い方が上手いのが、この作者さまの凄い所です。ネタバレになるからいいませんが、何気ないアクセサリーに恐怖を感じたり、何気ないものに謎が隠されていたり、よくこの文字数でと思う仕掛けが満載です。是非、「朝」か「昼」に読んでくださいね!