まるで瘴気のようなものが見えるような巧みな描写

 作者さんが本当にホラーが好きなんだろうなと思わせる描写の研ぎ澄まされ方。
 日本人形やブレスレットなど小道具の使い方の見事さ。
 小説を読んでいると、終始、見えない物がいると感じさせられる。
 怪しい転校生から何か黒い物が出ていて学校というか、舞台を呑み込むようなおどろおどろしさ。そして、主人公の周りだけ光に包まれる、守護霊の優しい光が見えるような安心感。
 ただ、日常生活を送って日常会話をしているだけなのに、小説自体がホラーの雰囲気を撒き散らす。短編という事で限られた字数で過不足なく恐怖を見せてくる絶妙さ。
 ホラー好きの巧みな描写を感じさせられる逸品でした。
 家にある人形の謎解きやおじいちゃんの無関心さ、無力さをあえて残すのも絶妙だと思いました。私だったら自慢げに伏線の謎解きしちゃいますw

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