大切な友を救い、もう一度語り合いたい・・・

 そんな思いとともに、ピアノの美しい旋律が聞こえてきそうな物語でした。

 眠ったまま目覚めない友人を救いたくて、友人の記憶の世界に入って友人を目覚めさせようとするという物語ですが、友人を救おうとしているつもりの「俺」の方も、実は友人に救われているのだというような優しいお話です。

 描写が丁寧で美しい表現がよかったです。主人公からの視点だけでなく、それぞれの視点でも書かれていて登場人物の考えを理解しやすくよかった。

 特に主人公の心の動きは良く伝わってきて、いつの間にか共感し引き込まれてしまいました。

 私は、祖父母との思い出のシーンにとても惹かれました。優しさでキュンとなり、そして切なくなって泣けました。

 とても気持ちのこもっている素敵な物語だと思います。
 読み終わったとき、優しい気持ちになれるようなお話だと思います。

その他のおすすめレビュー

あきこさんの他のおすすめレビュー1,023