人が足を踏み入れてはいけない場所が、この世にはある


 「禁足地」。この世には、人が足を踏み入れてはいけない場所がある。

 ある地方の川の中州。そこは、ある血族の人間以外が足を踏み入れてはいけない「禁足地」である。
 ある血族である布士翠は、大手不動産会社から不思議な依頼を受ける。会社の人間といっしょに、ある場所へと行ってもらいたいというのだ。なんでもその場所は、布士家の人間以外が入ってはいけない「禁足地」なのだという。


 その禁足地へ、イケメン副社長とともに足を踏み入れた翠。彼女はそこで怪異に出会う。

 そして、甦る幼いころの記憶。不思議な体験と、叔母から聞かされたまじないの言葉。毎年開かれていた祭事。

 彼女の家系に連綿と伝えられた役目とは何なのか? 人を寄せ付けない禁足地にはどんな秘密があるのか?

 やがて明確な形をもって襲い掛かる怪異。その怪異には、呪術師の施した結界も通用しなかった。


 恐怖、恋愛、そして仕事。ちょっと自分の進むべき道を見失っている主人公がいろいろなものを見つけて行く物語。

 背筋の凍るホラー展開と、濃厚な恋愛描写。書籍化作者の実体験なのかもしれない編集者とのやり取りとか、そこに混じって作者実体験の怪現象とか、とにかく虚実入り乱れての筋運びが物語の長さを感じさせません。

 作者作品に毎回登場するレギュラーの「最低元カレ」と「犬系男子」に、今回はトラブルメーカーとして「ユーチューバー」が参戦。さらなる虚実入り乱れた世界観が楽しめます。


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