例えば空を見上げた時、何も感じないこともあれば、ふと美しいと思ったり、感慨を覚えることもあるのではないでしょうか。この作品は幼少期から大人になるまでの、いくつかの場面を切り取って、透明のしゃぼん玉に写し込んだような作品です。あの頃見えていたしゃぼん玉は何色だっただろう?今はどうか?ちょっと立ち止まって考えてみたくなりました。
人生なんて、儚く散りゆくシャボン玉。青空に流れるシャボン玉を眺めて、人はいったい何を思うのか。それは人によって、はたまた年齢によって移り変わっていく物なのです。美しく丁寧な心理・風景描写を通じて人間の成長とシャボン玉の儚さを描き切った力作。とても高校生とは思えぬしっかりした構成で、完成度の高さに思わずため息が出てしまいました。シャボン玉の儚さは変わらずとも、段階を経て変わっていく主人公の価値観は一見の価値ありです。若き才能と、青春のほとばしりをその眼で確かめたいのなら…。是非、一読を!
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