しゃぼん玉を辿る。

文学少女

プロローグ 蜘蛛の巣とビルの街

 ただ嫌だなと思っていた蜘蛛の巣が、ふと美しい自然の姿のように感じることがある。

 綺麗だなと思っていたビルの街が、ふとわずらわしいものだと感じることがある。

 そんなふうに、見る時によって見る物への気持ちというのは変わっていく。それは人が成長したり、人の心は一定じゃないからだ。

 

 僕のしゃぼん玉への気持ちの変化は、僕の人生を表しているように思う。

 僕のしゃぼん玉の記憶の軌跡は、小学生の頃の、あの暑い夏の日から始まる───。

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