小学生

 大きな透明のしゃぼん玉が、そよ風に乗ってゆらりゆらりと揺れながら、どこまでも広がる雲ひとつない群青の青空にぷかぷかと浮かび上がっていった。

 丸い輪郭は虹色に輝いていて、幻想的な眺めだった。


 夏の、炎天下だった。めらめらと煌めく太陽は、容赦なく地上に燃え盛るような日光をさんさんと降り注いでいた。太陽は、しゃぼん玉を見上げる僕の顔を痛いほど強い日差しで突き刺していた。

 ツクツクボウシ達の騒々そうぞうしい鳴き声が、周りの木々から絶え間なく鳴り響いていた。その鳴き声は、僕の体を益々ますます暑くしているように感じた。

 汗は全身からじわりじわりと滲み出て、もみあげの辺りから首筋へと大きな汗の雫が垂れる。そんな中、僕の意識はあの大きなしゃぼん玉に吸い取られていた。

「あのしゃぼん玉は、どこまで飛んでいくのだろう。」

そう思った時だった。


 ぽんっ。


と、しゃぼん玉は突然、儚く散っていった。


 しかし、僕はその時しゃぼん玉は消えたようには思えなかった。

 しゃぼん玉は、目には見えない無数の小さな小さなしゃぼん玉に分かれていって、いつまでも飛んでいってるかのように僕には思えたのだった。

 

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