経脈を辿った旅路の果てに、世界の真実が眠る。

 精霊が見える主人公は、敬愛する父を呑み込んだ樹を焼き払い、大事な家族を置いて旅に出た。しかしその体には、精霊の呪いと思われる文様が浮き出ていた。ところが危険な船旅の最中、凶暴な精霊から船を守ってくれたのは、文様だった。
 大陸に渡った主人公は偏屈な精霊学者の弟子となる。しかしこの国は、身分によって住む地区が違うという特殊な造りをしていた。そしてある日、身分の最下層の人々が通う地区で事件が起こる。師の協力を得てその事件に関わったとみられる邪悪な精霊に遭うが、そこで主人公は不吉な予言を得る。
 主人公はさらに大陸を旅し、精霊を王妃に据える国にやってきた。ここで主人公の体の文様は呪いではないことが分かる。その正体は——。主人公はこの国で王女の家庭教師をしながら過ごしていたが、自分を呼ぶ声を聴き、極北の民に会うために再び旅に出る。そんな中、主人公は義弟と再会。二人で故郷の村に帰ることを約束する。しかし主人公に待ち受けていたのは——。

 決断を迫られる主人公が選ぶ未来とは?

 主人公は全てを捨てて旅立ちます。もう、自分の帰る場所はないと思っていたところに、義弟がやって来て、また家族として暮らそうと懇願されるのです。壮大な世界観で描かれながらも、家族の物語であり、大事な人を大切に思い、行動する勇気の物語でもあります。

 是非、是非、御一読下さい!

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